第百三十三話 亡命者達への余波
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様な命令は出しては居ないが」
「情報部やその他の所までは判らないと言うのが現状なんだ」
シトレの言葉をキャゼルヌが補填する。
「しかも、幼い皇女まで暗殺されかかっている。強行派マスコミや市民以外は僅か10歳ほどの女児の暗殺未遂事件だけでも険悪感を示している」
「つまりは、戦争にもルールがある。汚い手を使うなと言うわけですか」
「そんなところだな。ヤン中佐」
「それに帝国では一年間喪に服す為に、暫くは対外的な攻撃がないと考えられる訳ですか」
「本来であれば、皇太子の敵討ちのためにしゃにむに報復の為に侵攻をしてきても可笑しくないが、臣民生活の為に一年間は喪に服しと皇帝自らが宣言した以上、侵攻はほぼ無いと思われる」
「なるほど」
「それに、今回の件で、同盟は亡命者を暗殺の捨て駒に使ったという悪評が立って、軍内部の亡命者達の士気の問題が生じていることだ」
「特にリューネブルク大佐の原隊であるローゼンリッター連隊はリューネブルク大佐の逆亡命時に全士官が査問を受け、連隊の解散まで考えられたほどの屈辱を受けているんだ、その屈辱が軍の思惑による行為だと成ったら、それこそ大変な事に成りかねないと。一部のお歴々が騒いでいるのさ」
「宇宙艦隊総司令部辺りからですね」
「ヤンにまで伝わっているとは、それほど凄いと言う事だな」
「困った事だよ。ロボス大将は焦っているようだからな、宇宙艦隊司令長官に昨年就任以来小競り合い以外の戦闘を経験していない。其処へ来てこの暗殺事件だ、軍同士が疑心暗鬼に成って居る状態では戦闘もできんと、零しているらしい」
「その為には、不安定要素のローゼンリッター連隊を始めとする亡命者達を前線の辺境地帯へ島流しにした方が良いと政治屋達に話をしているらしい」
「政治業者は亡命者よりご自分の票の方が大事ですからね」
「その辺の算段をしているのが、アンドリュー・フォーク少佐らしい」
「フォーク、フォーク・・・」
「ほれ、アッテンボローの一期下で生徒会役員だった」
「んー、余り覚えていないですね」
「ヤン候補生は歴史書ばかりを読んでいたから、気づかなかったのだろうな」
「本部長」
ひとしきり笑いが起こった後で、シトレが真顔で話を再開する。
「それ以上に問題は、帝国が攻めてこない以上此方から攻めるべきだという声が宇宙艦隊総司令部辺りから上がってきていることだな」
「ロボス大将ですか、本部長とは25年来のライバルでしたっけ?」
「向こうがそう思っているだけで、私は気にしてはいないのだがね」
「焦るでしょう。本部長は元帥。自分は未だに大将ですから。帝国が混乱している今なら勝てると踏んでいるんでしょう」
シトレ本部長とキャゼルヌ先輩の話を聞きながら、ヤンも日頃
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