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ある晴れた日に
91部分:小さな橋の上でその七
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小さな橋の上でその七

「それはな」
「じゃあどういうことよ」
「ただの数合わせなんだよ」
 つまりこういうことだった。彼も負けてはいない。こう明日夢に言ったのである。
「御前等はな」
「あんた、自分のことも言ったら?」
「そうよ。そっちだって大作君だけじゃない」
 奈々瀬も言う。
「大作君だけ。ちゃんとクイズ答えられるのって」
「僕も別に。それに」
「それに?」
「どうかしたの?」
「大作君って言うのは止めて欲しいな」
 こう二人に頼むのだった。
「それはね」
「?どうしてなの?」
「何かあったの?」
「いや、漫画を思い出すから」
 彼が言うにはそういうことだった。
「特撮でもあったけれど」
「ああ、ジャイアントロボかよ」
 そして野本がここで言ってきた。
「あれだよな、大作君って」
「うん、あれ」
「これだろ?」
 野本は笑いながら両手をキョンシーのように前に突き出して来た。そして言うのである。
「ロボ、発進だ!」
 次に言う言葉は。
「マ``ッ!!」
 実に奇妙な言葉だった。『マ』という言葉に濁音がついている。少なくとも日本語では表記が実に困難な言葉である。だが彼はそれをあえて言ったのである。
「これだろ?」
「うん、それなんだよ」
「あれってアニメじゃなかったのか?」
 正道は眉間に皺を寄せてその二人に尋ねた。
「確かそうだったんじゃないのか?」
「特撮でも昔あったんだよ」
 こう正道に話す野本だった。
「面白かったぜ。最後特攻したのも感動したしな」
「そうだったのかよ」
「そのロボ思い出すんだよ」
 加山はここでまた言った。
「だから。大作君っていうのはどうもね」
「別にいいんじゃないの?」
「そうよね」
 しかし明日夢と奈々瀬はそれが別に悪いと思ってはいなかった。顔を見合わせて言うのである。
「別にねえ」
「そういうのなら」
「それが嫌ならいがぐり君なんてのはどうだよ」
 また野本が言って来た。
「それならよ」
「今度は何、それ」
「全然聞かない名前だけれど」
「大昔にあった漫画だよ。柔道のな」
 こう奈々瀬と明日夢に話す野本だった。どうやら彼が学校の勉強以外のことはそれなり以上に詳しいらしい。あくまで学校の勉強以外だが。
「うちのあいつがそういうの持っていてな。読んだことあるんだよ」
「ああ、竹山君ね」
「あいつそういうの好きでな。家に上がり込んでやって読んでやってるんだよ」
 また随分と図々しい言葉である。
「面白いぜ、結構な」
「ふうん、そうなの」
「その漫画の主人公がこいつそっくりなんだよ」
 こう言ってあらためて加山を親指で指し示す。
「本当にな。まあ髪型はその主人公は坊主でこいつはスポーツ刈りだけれどな」
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