第二十八話「来禅高校修学旅行・[」
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を拭う。既に鳩尾には炎が現れ回復を開始していたが動けるようになるには少し時間が必要だった。そしてそれは目の前の大尉が攻撃し、士道に深手を負わせるには十分な時間だった。
大尉は一気に士道との距離を詰める。大尉も右腕を失い血が垂れている現状で長期戦は好まなかった。故に一気に畳みかける。
大尉が左手で手刀を作り攻撃の構えを取る。士道はそれを避けようとしても鳩尾の痛みで動くことは出来ず朦朧とする意識の中で迫りくる敵の攻撃を見ている事しか出来なかった。
そして、士道を確実に捕まえるために行われた大尉の一撃は
「やぁっ!」
「…っ!」
大尉の背中を渾身の力で切り裂いた十香によって阻まれた。回復しきれていない体で無理をした十香はその場に倒れ込む。しかし、大尉を止めることには成功し大尉は背中を大きく負傷しその場に蹲る。
「うう、シド―。無事か?」
「と、十香。サンキューな。助かったよ…」
「そ、それは良かった」
士道は十香からの問いに息を吐き出しながら答える。張りつめていた空気が一気に軽くなり士道は肩の力を抜き上空を見る。
空は大きな雲で覆われ時々八舞姉妹の戦闘の様子が見える。今すぐにでも二人の元へと士道は行きたかったが体は全く動かなかった。
「…まさか、大尉が負けるなんて思わなかったよ」
「「っ!?」」
敵を倒せたと言う安堵の中、声変わりをしていない少年の声に士道と十香は一気に警戒する。その声の主、シュレディンガー准尉は近くに木の陰から現れ人懐っこい笑みを浮かべながら二人に近づく。
「そんなに警戒しないでよ。僕は大尉みたいな戦いなんて出来ないし第一僕は喋らない大尉の通訳で来ているだけなんだから」
「…そんなこと、信じられるかよ」
「別に?君に信じてほしいとは思ってないよ」
士道の吐き捨てる言葉にシュレディンガー准尉は特に気にした様子も見せずに答える。ここが戦場でなければシュレディンガー准尉は愛らしい少年に見えただろうがここではただ警戒されるだけに過ぎなかった。
「まあ、大尉がやられた今僕たちは帰らせてもらうよ。目標達成は出来なかったけどデータはたくさん撮れたしお土産も出来たしね」
そう言うシュレディンガー准尉の手にはバンダースナッチをまとめた袋の入り口部分が握られていた。
「これで許してくれるかは分からないけどないよりはマシだよね」
「ま、待ってくれ!」
士道に背を向け歩こうとするシュレディンガー准尉を士道は呼び止める。士道の言葉にシュレディンガー准尉ははてなマークを浮かべながら顔だけ後ろを向く。
「君たちは、一体何者なんだ?」
「僕たち?別に教えてもいいけど、君達じゃ僕たちの事なんて知らないだろうから
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ