暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 28
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以上、以前のように、あと一杯だけ……などと妥協する訳にはいかぬのだ!

 ビバ・おなかいっぱい!

 そうして迎えた現在。
 我の(かいな)には空のカップ。狙うは五杯目のミントのお茶。
 障害は姑のマリアと、マリアには弱腰のアーレストと、マリアには大人しく従うレゾネクト。
 リースリンデはどうとでもなるとして、コルダは……正直、読めぬ。
 味方になるか、妨害者となるか。
 我の立ち回り次第であろうか? それすら読めぬ。
 かと言って、放置できる存在感でもない辺りが厄介だ。

 正面のテーブル奥にリースリンデ。右手側手前にレゾネクト、奥にアーレスト。左手側手前にコルダ、奥にマリア。
 お茶が入ったポットは、アーレストの手前、リースリンデの近く、マリアの視界の範囲内。
 普通に要求しても、高確率でマリアの制止が入る。媚びても結果は以前と変わるまい。
 皆の食事終了までは、残り十分から十五分程度。
 腹の調子で見れば、我もまだ二・三杯はいける。
 だが、下手を打てば此処で強制終了だ。

 さあ、どうする我?
 この危機的状況を首尾良く切り抜けるには、どう動くのが最善か?

 「そういえば、貴女はどうするの? リースリンデ」
 「はい?」

 む? リースリンデの気がマリアに向いたな。

 「この前のクロスツェルはレゾネクトの体を使っていたから、貴女とはあまり話せてなかったじゃない? 改めて会いに行くのならそれでも良いけど、王都に良い印象は無かったみたいだから、どうするのかなって」
 「ああ、それですか」

 全員の目が、ひらりと舞い上がるリースリンデに集まりおった。
 こ、これは……。

 「聖天女様は、ロザリア様の結界内部に直接移動される予定なんですよね?」
 「ええ」
 「なら、行きます。リオやリーフの件でも改めてちゃんとお礼をしておきたいですし、結界の外に出なければ良いだけの話ですから」
 「うーん……聴いてはいたけど、精霊さんは本当に義理堅いんだねぇ」
 「恩を受けたら返したいと思うのが当然でしょう? 恩恵を受けて当たり前だと思う人間がおかしいのよ。厚かましすぎて気持ち悪いし、吐き気がする。ああ、おぞましい!」
 「耳に痛いですね」
 「アーさんも、誰かに何かをしてもらうのが当然なの?」
 「そう在りたくはないですが、未熟さは日々痛感しています」
 「私は、アーさんにもたくさん貰ったわ。アーさんには何を返せるかしら」
 「お役に立てたなら、それで十分ですよ」
 「……アーさんのそういう所、私は好きよ。納得はしないけど」

 絶好の機会、キターーーーッ!

 皆の視線が、アーレストと向き合う形で宙に浮かんでいるリースリンデに集まった今!
 ポットは完全に死角(ほ
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