第七十二部第一章 マウリアの人口統計その三十四
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「後は残った仕事をする」
「夕食の蹟もですね」
「そちらに励まれますね」
「カリーの後も」
「残ったそれを」
「そうしよう、仕事は多い」
国家元首だけにだ、国家元首が多忙でない国は存在しない。これは象徴であろうともサインするものが必要だからだ。
「だからだ」
「夕食の後もですね」
「サインをする必要がありますね」
「国家元首として」
「そちらに」
「そうだ、そしてカリーだが」
それはというと。
「今日のカリーは何だったか」
「ゆで卵のカリーです」
秘書官が話した。
「そちらのカリーになります」
「ゆで卵か」
「はい」
まさにそれだというのだ。
「それになります」
「そうか、わかった」
「ではそれをですね」
「食べよう」
こう答えた。
「そのカレーをな」
「わかりました」
こうしてだ、クリシュナータはそのカリー、ゆで卵のカリーを食べることになった、そして実際に食べるのだが。
その時アウトカースト層の中でもだ、こんな話が出ていた。
「カーストの連中もカリーだな」
「ああ、間違いなくな」
「奴等もカリーだ」
「カリーを食っている」
「俺達と同じだ」
「マウリアにいるからな」
それならばというのだ。
「食ってるものは同じさ」
「ナンも食うしミルクも飲む」
「菓子だって食うさ」
「何かを食ってるさ」
「マウリアにあるものを」
「違うのはな」
その違うものはというと。
「連中はいいものを食ってるんだ」
「俺達よりもだな」
「カーストでいいとされたものをだな」
「あいつ等は食っていいとされているもの」
「それをだな」
「ああ、あの連中も牛肉は食わないがな」
このことは変わらない、ヒンズー教徒ならばだ。
「しかしな」
「それでもだな」
「カーストにいるとだよな」
「いいものを食ってる」
「住んでいるところも違う」
「俺達はスラムだ」
「そうした場所にしか住んだらいけない」
こう定められているのだ、カーストによって。
「それで除外されてきた」
「いないとも思われてきたからな」
「だから戸籍にも載っていなかった」
「政府があって統治されていてもな」
「いないものだったな」
「そう扱われてきたな」
「ぞんざいな扱いだったぜ」
戸籍にも載っておらず無視されてきた、尚アウトカースト層の政府には彼等の戸籍がしっかりと存在している。
「それがな」
「もうすぐな」
「ちゃんとマウリアに入って」
「その社会に入ってな」
「市民権ってやつを得られるな」
「ちゃんと」
「見ていろ」
カースト層への言葉だ、言うまでもなく。
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