暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epica54俺が選ぶ道〜Occurrence in a Time limit〜
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回ればいいし、調査部はあまり魔力を使用しないから、今のところは局を辞めるつもりはないよ」
そう答えると、シャマルが不安そうな表情を浮かべて俺を見た。
・―・―・回想だ・―・―・
意識が無かった3日間を合わせて9日目の今日。毎日朝と夕の検査を行っているわけだが、日に日に主治医となってくれているシャマルの表情が曇っていくことは察していた。
「あ、シャマル。ルシルの検査の話?」
「待たせてしまったな、すまない」
トイレを済ませて戻ってきたら、白衣姿のシャマルが病室のソファに腰掛けていた。車椅子に乗る俺とアイリが戻ってきたことで立ち上がり、「ううん。今来たところだから」首を横に振った。そんなシャマルの前を通り過ぎて「ちょっと待ってくれ」一言断って、ベッドに移るためにベッドに手を付く。
「大丈夫・・・?」
アイリが心配そうに声を掛けてきたから、「ああ、これくらい・・・」ひとりで出来ないと今後苦労するため、そう返す。腕力だけで車椅子から尻を浮かしたその時・・・
「ぅぐ・・・!?」
強烈な頭痛と胸痛が襲ってきた。これはあれだ、記憶消失の際に起こる・・・。直後に去来する言いようのない喪失感。痛みと喪失感という、ここで起こるなんて予想だにしないものにバランスを崩した俺は、床に倒れこんでしまった。
「マイスター!?」「ルシル君!?」
咄嗟のことだったからかアイリが俺をマイスターと呼んだ。アイリは俺を抱き起こしてくれて、シャマルも「どこか怪我してない?」診てくれた。痛みの所為で転倒時に頭を庇えなかったこともあり、頭を打ってしまった。
「ちょっと赤くなってるわね。この程度なら・・・」
シャマルの手がそっと俺の頭に触れ、「癒しの風よ」治癒魔法を掛けてくれた。よし、と頷くシャマルに「ありがとう」礼を言っていると、シャマルとアイリが「え・・・?」目を見開いた。視線を追えば俺の右手であることは判るため、俺も右手を見たんだが別に変わったことはなかった。
「どうしたんだ2人とも。顔を蒼くして・・・」
「今、マイス――ルシルの右手、透けてた・・・」
「え、ええ。確かに手の甲が薄っすらと透けていて、向こう側が見えていたわ」
「っ!」
改めて右手を見るがやはり透けてはいないようだが、2人が同時に見たと言うのだから気のせいというわけにはいかないだろう。
「ルシル君。ちょっといい? 話があるのだけど・・・。以前あなたは私たちに、自分やオーディンさん、それに歴代のセインテストは、初代のクローンであると話してくれたわよね」
随分と懐かしい話だが、守護騎士がはやての誕生日に起動したその日、俺が語った偽りの経歴の内容だ。ガーデンベルグの撃破=セインテストの死という普通の人間ではありえない
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