第七十二部第一章 マウリアの人口統計その三十三
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「エウロパにとっては辛いものだった」
「連合への守りの要ニーベルング要塞を失いましたし」
「非武装地帯ももうけさせられましたし」
「賠償金も多額でした」
「相当なものでしたね」
「だからだ」
それでというのだ。
「エウロパも反対派が多かったな」
「再び戦いだと言う有力者も多かったですね」
「それも結構いました」
「その彼等を宥めもしました」
「とにかく何かとです」
「あの時はエウロパに要求を飲んでもらう為に」
「かなり苦労しましたね」
「今思いますと」
「そうだった、しかし飲んでもらった」
その要求をというのだ。
「それはよかった」
「そうですね、実際に」
「あの時はよかったです」
「エウロパも納得してくれて」
「講和となりました」
「かなり連合の要求通りになったにしても」
「エウロパの誇りは守りました」
彼等も立てたとだ、側近達も言う。これは彼等にとっては幾分か自画自賛とも言えるものであるがあえて言った。
「それが出来てです」
「エウロパは今は復興期です」
「復興は予想以上に進んでいますし」
「よかったです」
「何といいましても」
「そして復興にも力を貸していてだ」
そうしてというのだ。
「発展にもだ」
「技術を手渡し」
「そうしてですね」
「エウロパの発展も助けていく」
「そうしますね」
「その通りだ、ではこのまま続けていこう」
エウロパへの政策、それをというのだ。
「外交もな」
「バランサーとして」
「そうしていきますか」
「連合とエウロパの間に入り」
「進めていきますか」
「このままな、しかし今は内政が第一だ」
何といってもというのだ。
「マウリアにとってはな」
「アウトカースト層を完全にマウリア社会に加える」
「そうしていきますね」
「そして彼等の力も加え」
「マウリアの国力を充実させますか」
「そもそも一つの国家に二つの世界があるということはだ」
カースト層とアウトカースト層、その二つの世界がだ。
「これ自体がおかしいな」
「はい、まさに」
「これまでのマウリアは」
「それ自体がおかしい」
「そうしたものですね」
「カーストは重要だが」
それも極めてだ、マウリアで最大の勢力を持つヒンズー教では。
「やはり世界は一つであるべきだ」
「政府は、ですね」
「統治システムは一つであるべきですね」
「幾らカーストがあろうとも」
「そこをですね」
「戻していきましょう」
「是非な、ではこれから食事だ」
夕食である。
「それを楽しもう」
「カリーですね」
側近の一人が言ってきた。
「そちらですね」
「そうだ、カリーを食べてだ」
クリシュナータ自身もそれだと答えた。
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