第四幕その十
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「大きくて皮も厚そうね」
「お陰で寒い思いはしないよ」
「何しろ凄い皮の分厚さだからね」
「その下には脂肪もあるし」
「全然寒くないよ」
「そういえばトドさんやセイウチさんの皮は」
恵梨香も言われてそのことを思い出しました、図鑑で読んだそのことをです。
「何センチもあるのよ」
「そうだよ、寒さと衝撃から身体を守っているんだ」
「もう鎧みたいなものだよ」
「そうよね、何センチもあったら」
皮がというのです。
「本当に鎧みたいよね」
「鉄程固くはないけれどね」
「あれは硬いっていうけれど」
「僕達はあくまで皮だからね」
「自分達のね」
「それじゃあ動きやすいわね」
鎧と違ってというのです。
「そうよね」
「うん、とても動きやすいよ」
「海の中では素早く動けるよ」
「そうした身体の構造だしね」
見ればその通りです、セイウチもトドもアシカやアザラシ達と同じく足になっている部分が鰭になっていて泳ぎやすい体型になっています。
「それでよね」
「そう、僕達も海で泳ぐのがメインだよ」
「今は氷の上にいるけれどね」
「やっぱり第一の活動場所は海だよ」
「そこだよ」
「ええ、それでセイウチさんは」
恵梨香は今度はその見事な牙を見ています。
「その牙で貝を掘ったりするのよね」
「そうして取り出して食べているよ」
「そうよね」
「この牙があるから」
だからだというのです。
「僕達は埋まっているものを掘り出すのが得意なんだ」
「そうよね」
「それぞれの生きもので色々な姿なのは」
船長も恵梨香にお話します。
「進化だよ」
「それぞれのですね」
「そうなんだ、厚い皮もね」
セイウチやトドのそれもというのです。
「進化で泳ぐのに適している姿なのもね」
「進化ですね」
「身体が大きいこともね」
これもというのです。
「進化だよ」
「全部そうなんですね」
「わし等人間もだしね」
「あっ、私達もですか」
「そうだよ、皆ね」
本当にというのです。
「進化しているんだよ」
「身体の仕組みとかは」
「外見もね」
「人間は人間で、ですね」
「そしてその真価は終わらなくて」
それでというのです。
「これからもだよ」
「続いていくんですね」
「そうなっていくんだよ」
「お肌だってそうだね」
モジャボロが言うことはといいますと。
「寒い地域だと白くなって暑い地域だと黒くなるね」
「日光に合わせて」
「日焼けして色素が多くなって日光に強くなるね」
「そういうことですね」
「それぞれの進化だよ」
お肌の色もというのです。
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