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リュカ伝の外伝
子供に好かれるのは良い事だ
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(グランバニア城:中庭)
ウルフSIDE

「呼んだ?」
「ああ……」
レクルトは俺に呼び出され、何時もの様に警戒しながらやってきた。

グランバニア城にある中庭の円卓に座る俺の対面に腰を下ろすと、懸命にここへ呼び出された理由を考えている。
仕事の話ならオフィスに呼ぶだろうし、個人的な要件なら呼び出さず俺から行くだろうから警戒は深まるばかりだ。

「また最近……俺をウルポン呼ばわりする歌が市井で流行(はや)っている。これもマリーの仕業か? この間、リュリュさんを……我が国の姫君を“変態”呼ばわりする歌を歌ってたのを、こっぴどく叱った仕返しか!?」

「さ、さぁ……その歌は聴いた事あるけども、誰発かまでは」
「私、知ってますよ」
俺の直球な質問に言葉を詰まらせるレクルト……しかし別の人物から『知ってる』の返答が。

それは俺達が集まるのを見つけ、気を利かせた風に紅茶を用意してくれた上級メイドのジョディーだ。
レクルトの前と俺の前にティーカップを置き紅茶を注ぎながら屈託の無い笑みで答える。
そして俺の横に腰を下ろすと、俺の為のはずの紅茶を勝手に飲み、事の真相を話そうとしている。

「あの歌は陛下が歌ってました」
マリーじゃなきゃリュカさん……
当たり前か!

「あのオッサンふざけやがって!」
「陛下がメイド達の前で披露し、聞いてた何人かのメイドが懸命に書き留め、閣下の前以外で口遊(くちずさ)んでいるんです」

「城下を歩いていると、ガキ共が『おしえろウルポン!』って言いながら駆け寄ってくるんだよ! 主語を言え! 敬語を使え! つかウルポンて呼ぶな!!」
「まぁまぁ……子供に好かれてる証拠じゃないか。喜ぶべき事だよ」

「黙れレクルト! 頭にきたから子作りの方法を生々しく教えてやろうかと思ったよ……お前は両親の愛で生まれたんじゃ無い。ただの快楽の結果だってな!」
「本当に最低だなお前」

俺の紅茶を飲み続けながらジョディーが批判する。
レクルトも顔を歪めながら同意とばかりに首を縦に振る。
こんな歌を作るヤツは問題じゃないのか?

「思っただけだろ。本当に言ってはいない」
「思うだけで十分だ」
「思考回路と精神年齢が狂ってるんだよ」

紅茶組(紅茶を飲んでる者)が俺だけを責める。
何故俺だけがこんな目に遭うのか?
リュリュさんの歌を懸命に止めたのに……

「お前等もリュカさんかマリーに歌われてみろ! 俺の気持ちが解るから」
「いや無理だよ。僕らは君ほどキャラが濃くないから歌に出来ない」
何も知らないレクルトはドヤ顔で言い切った。
非公開だがリュカさんに歌われたジョディーは、黙って紅茶を啜っている。

「何とかこの歌を消せないものか?」
「無理ですね。メイド等が広
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