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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
想いの吐露と現実と
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ょ? 1ヶ月で2件の調子じゃ、まだ追い付けないけど」
「昨年度が異常だった、って思ってくれた方が嬉しいな……。今は記録とかに固執してないし、それに、1つの事件に懸けるものが前者と後者では違いすぎるからね。しばらくは安穏にさ」
苦笑を零しながら、自分は今しがた告げた言葉の意味を反芻する。1つの事件に懸けるもの──それが何なのかは、本質を見澄まさなくとも分かりきっていた。根幹にあるものが自利的行動から利他的行動に変貌した、たったそれだけのことなのだ。金銭とか記録を意識していた去年までの生半可な気概では、パートナーである一少女の命運を背負いきれない。それを自覚したからこそ、自分は彼女に対する事案だけに傾注して請け負う──という断案を下したわけになる。
そこまでを、この一言二言からアリアが感受したかは定かではない。自分のことを茶化したつもりが、意想外のところから返事が飛んできたので、どうやら呆然としているようだった。
そんな彼女を横目に見ながら、遣り取りを黙視していた文に本題の言葉をかける。「最近は事件の関係で銃を使わせられたから、ちょっと状態が心配だね」とだけ、前置きをした。
「というわけで、文、宜しく頼むよ」そう笑いかけながら、愛銃のベレッタM93Rと父親譲りのデザートイーグルを取り出した。作業テーブルの上に置いた2丁を見たその刹那に、わけも分からず気の作用が少しだけ変わったのか、どうせだから《緋想》も文に点検してもらおうかしら──と思い至って、隠匿していた背から手伝いに「ついでに、これも頼むね」と彼女に渡す。
彼女はそれを見るや否や、どこからか取り出した白手袋を嵌めた。それから手伝いに《緋想》を受け取って、白手袋と同時に取り出したらしい白布を、敷いたテーブルの上に静止させる。
その手際の良さに感嘆させられてしまった。《緋想》を視認してから、並大抵の日本刀でないことを即座に察知したのだろう。その上で、これだけ大仰かつ適切な対応をしてくれたわけだ。
文は切り揃えてある茶髪を揺らしながら、自分の方に問いかけてくる。
「如月くん、この刀は何ですのだ……?」
「母方の本家一族に伝承されてきた日本刀だよ。これも点検してほしいんだ」
「なるほどー、了解ですのだ! じゃあ、銃は完全分解までしてパーツの点検、刀は研磨と手入れっていうことで──うーん、たぶん今日中に終わるかどうか分からないけど……」
「無理して終わらせなくてもいいよ。明日にだって取りに行けるもの」
その間、主要な武器を手放してしまうのは惜しいけれど──不備があるかもしれない武器を、その可能性とともに使用するよりかは惜しくない。急かした結果に事故でも起こす方が駄目だ。
そんな意味合いを込めて、文にはこの依頼を改めてお願いした。「頑張れば、もしか
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