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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
想いの吐露と現実と
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装備科棟の一室を、自分とアリアとは目前に控えていた。扉の傍らにある壁には『平賀文』と可愛らしく装飾されたプレートが備え付けられていて、それを一瞥しながら扉を開ける。
すぐさま視界に飛び込んできたのは、部品を収納しているらしいボックスや工具箱の集積だった。それらが積み重なって幾つかの山を形成していて、あまつさえ、その山から零れ落ちてしまったらしい部品などが床に散乱している。絶句しているアリアを引き連れながら奥へ進んだ。

平凡な金具が落ちていることもあれば、高価に見える回路のようなものが落ちていることもあった。更には、何処から伸びて何処へ向かっているのか分からないケーブル──それらを踏まないように慎重に足を踏み出しながら、ようやく見えてきた数畳ほどの空間に安堵する。
壁際の作業テーブルに自らの座る椅子を備え付けて、少女──平賀文は自分たちを待っていたらしい。床に着かない足を遊ばせながら、あどけない顔付きと瞳とをこちらに向けていた。


「久しぶりだね。最後にこうして会ったのは、昨年度の暮れだっけ?」
「たぶん、その頃だと思うのだ。あれから少し空いたけど……今日の用事は何ですのだ?」


文はそう言いながら小首を傾げて、切り揃えてある茶髪を揺らした。不意に「あっ!」と呟いたかと思うと、「もしかして、カップル成立のお知らせですのだ?」と無邪気に訊いてくる。
いち早く返事を返したのは、アリアだった。それは言葉ではなくて、銃なのだけれど──彼女は撃鉄を起こした白銀のガバメントを握り締めながら、その銃口を真っ直ぐと文に向けていた。


「ばっ、馬鹿なこと言わないで! アタシと彩斗はそういうのじゃない!」


色恋沙汰に関する彼女の激昂は、彼女自身の羞恥を隠すためのもの──裏腹な頬の紅潮が、暗にその事実を示唆していた。そうして、自分がその大半を確信したのは、最近のことだった。
どうやらアリアは『色恋沙汰に疎い』自分とはまた異なった感じで、根本的に『色恋沙汰を象徴すること』を見聞きするのがどうにも恥ずかしいらしい。類推ながら、そう感じていた。

もちろん恋愛ドラマなど見れたものではないし──見れたとしても、それは告白シーンだとかキスシーンだとか、そんな大仰な演出のされていないような箇所に限られている。何をそんなに恥ずかしがるのかしら──と思うことも間々あるけれど、単にアリアの性格が初心なだけだろう。
そうして、そんな初心な彼女は、激昂から並べ立てる言葉の裡面に羞恥を秘めていた。


「彼氏彼女とかそういうのじゃなくて、ただの武偵活動のパートナーなだけ! アタシは恋愛なんてどうでもいいし、したいとも思わない! 次にそんなこと言ったら、風穴開けるわよ!」


本気の激昂ではなくて、羞恥を隠すための激昂──と
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