第五十四話 最後の学期になってその十一
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「回廊ひのきしんには」
「膝当て貸してくれて」
「そうです、二人でやりましょう」
「それじゃあね」
ひのきしんならでした、私もです。
阿波野君の言葉に甘えて膝当てを借りました、そうして。
二人で教会本部に入って南の礼拝堂で参拝をさせてもらってから回廊の雑巾をお借りしてひのきしんをはじめました、勿論膝当ても付けてです。
回廊の床を拭いていきます、そうして一時間位かけて一周してでした。
終わってまた参拝をしてから阿波野君は私に言いました。
「じゃあ後は」
「図書館に行ってなの」
「勉強してきます」
「真面目ね」
「ですから大学目指していますから」
一年生の時点でそうだというのです。
「頑張りますよ」
「本当に頑張ってるわね」
「はい、先輩と同じ大学に行きますから」
「待ってるわね」
妙に親しいものを感じて思わず笑顔になりました、そのうえでの返事です。
「とはいっても学年が違うから」
「一緒の講義とかはないですか」
「ええ、ただ同じ大教会だから」
このことがあってです。
「一緒にひのきしんは出来るわね」
「今みたいにですね。それに」
「それに?」
「おみちのこと色々教えて下さいね」
私にこうも言ってきました、神殿本部の南の礼拝場の階段を一緒に降りながら。
「是非」
「色々となの」
「僕まだ全然知らないですから」
「私でよかったら」
おみちのことならでした、教会で生まれ育ってきたので少しなら自信があります。
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