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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
かごのとり
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女なりの意向があるとはいえ、いま最重要視すべきなのは《魔剣》のことだ。
『目立ったことはするなよ』とアイコンタクトを送りながら、キンジは控えているアドシアードの危険性についてを脳裏に反芻させていた。白雪が表舞台に立つのは、どうにも都合が悪い。
彼の者が白雪を狙っているのならば、アドシアードは絶好の機会だ。出場生徒は東京武偵校の人間だけではなく、各地の武偵校からもやってくる。そういった中に《魔剣》が変装でもして、隠密行動を採っているとすれば……? ましてや、その中でも目立つ場所なら尚更のことだった。
キンジのその懸念を見透かしたかのように、白雪は小さく頷く。そのまま一同に顔を向けた。
「さて、上手い具合にお話もまとまったので、今日の委員会はここまでということになります。次回はまた必要な時に連絡しますね。このアドシアード、絶対に成功させましょうっ」
胸の前で小さく手を掲げながら、彼女は満面の笑顔を振り撒いた。活気のある面々の声が一挙にこの部屋を覆い尽くして、果たして委員会はこれで終了──という運びに収まる。その後は各々が談笑なりしていて、専門科目に行こうとか、遊んでから帰ろうとか、そんな声がしていた。
その声の中をキンジと白雪とは一緒に通り抜けて、そのまま昇降口へと向かっていく。
昇降口を出ると、すぐさま斜陽が目に射さった。それは東京湾に腰を掛け始めていて、地上に爛々と茜を降り注いでいる。目を細めながら2人は武偵校の校門を抜けた。
付近にはもう半袖制服が点在していて、見計らったかのようにキンジの額には汗が滲んでくる。まだ春過ぎの時期という割にはやはり、今日は時期尚早の夏が訪れているようだった。
帰路につきながら、2人は歩調を合わせて歩いていく。夕食のメニューはどうしようとか、そんな他愛のない話をしているうちに、不意に白雪は後ろを振り返った。キンジもつられて振り返ってみると、少し向こうの通りの方で武偵校の生徒たちが集まって遊んでいるらしかった。
それがいったい何だというのだろう、と彼は訝しむ。その答えはすぐに白雪が告げた。
「早くお家に帰った方が安全なのにね。何でみんな、遅くまで遊ぶんだろ……?」
「そりゃあ、遊びたいから遊ぶんだろうが。たまには白雪も遊んでみたらどうなんだ。遊びたいとか、そういうのを全く思わないっていう年頃でもないだろ、お前の年齢は」
「お店を回ったりするくらいなら、少しは、思うけど……。それでも──」
──星伽の巫女は、護り巫女。
詩歌の一節を淡々と諳んじるかのような、そんな泡沫のようなものを内包している声だった。そうして、その事実も声色も、キンジが聞いたのは初めてのことではなかった。むしろ何回も何回も聞いていて、彼女はその言葉を諳んじるたびに、実家
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