第二十三話「来禅高校修学旅行・V」
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「ぐっ、いきなり天気が変わっちまったな…!十香、急がないと皆に追いつけないぞ!」
「す、すまんシド―。でも確かに見られている気配がしたのだ!」
暴風が吹き荒れる或美島、その道を士道と十香は歩いていた。既にクラスメイトの姿はなく既に或美島の資料館に向かったのであろう。
そもそも、二人がクラスから離れて行動しているのには訳があった。十香が誰かに見られていると言いそれを確かめるため資料館の方とは別方向に駆けだしたのだ。それを追いかけた士道はうろ覚えの道を先導して歩いていた。
「騒いでいたから地元の人に注目でもされたんだろ。それより…!」
士道は次第に強くなる暴風に身をかがめて耐える。既に暴風は歩くのすら困難な状況にまで強くなっており上空を見れば島を中心に渦巻くように雲が発生している。しかし、雲は島のみで発生しており島の周囲は快晴と言っていいほどだった。
「十香!今は急いで資料館に…」
「シド―!危ない!」
振り返り十香に呼びかけた士道はそのまま十香によって突き飛ばされる。瞬間十香の顔に金属製のゴミ箱が命中した。
「ぎゃぷッ!?」
更に何処から飛んできた別のゴミ箱が十香の顔に追撃を行った。
「ぎゃんッ!」
そして三つ目のゴミ箱が命中し、十香は目を回しながら大の字に崩れ落ちた。
「十香!?大丈夫か!」
士道は十香に駆け寄り肩を揺さぶるが十香からの返事はない。しかし、呻いている様子から死んでいる訳ではないようだ。
「くっ!仕方ない…!」
士道は目を回し気絶している十香を背負うと資料館の方へと歩き出す。しかし、一層強まる強風によってその歩みは亀の様に遅かった。
そしていくらか歩いた時、士道は眉をひそめた。
「あれは…」
渦を巻くように濃くなっている雲、その中心に二つの影が見えた。士道はそれを見て二つの存在を思い出す。この半年で深く知る事となった精霊とASTである。
「でも、空間震警報は鳴ってないぞ…!一体これは…」
例え空間震警報がなっていなくても精霊がこちら側に来る事は出来る。十香や四糸乃、狂三がそうであったように。その為、士道はもしこれが精霊の起こした物なら…、という予想を立てることが出来た。
しかし、それよりも先に士道は十香を連れて資料館に向かう事を優先した。本当に精霊の起こした事なら放っておくことは出来ない。だがそれ以上に十香を安全な場所に移動させるのが先決だった。
「うわっ!?」
瞬間士道を今までとは比べ物にならない強風に襲われる。あまりの強風に体が浮くのではないかと感じた士道は思わず背負っていた十香を地面に降ろし自らも背を丸めて強風をやり過ごそうとした。
すると士道に襲いかかった風は数秒すると止み士道の周辺から風
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