第三幕その十一
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「今以上に痛い思いをすることになるってね」
「そうした運命になるって言われたのね」
「それでね」
「あっ、歯を抜いたの」
「そうなってね」
それでというのです。
「悪い運命から逃れられたよ」
「虫歯の痛さに苦しむ運命から」
「その時カエルマンさんもいてくれて」
オズマに同行していたというのです。
「彼が泳ぎながら僕のお口の中に入ってくれて」
「虫歯を抜いてくれたのね」
「それでね」
「悪い運命から逃れられて」
「今はすっきりしているよ」
「それもまた運命を変えることね」
「オズの国に来るよりは軽い運命だけれど」
それでもというのです。
「これもまた運命だね」
「そうね、虫歯で苦しむとしたら」
「本当に悪い運命だよ」
「それは私もわかるわ」
「君も虫歯になったことがあるのかな」
「私がないけれどお母さんが子供の頃なったことがあるそうなの」
それで恵梨香も知っているのです。
「私にもいつもお話してくれるの」
「虫歯は痛いって」
「それもかなりね、だから私気を付けて」
「歯を磨いているのかな」
「そうしているわ」
「それは僕達もしているよ」
白鯨はここで自分達の歯磨きのお話をしました。
「海のお水をどんどん飲んでいくんだ」
「海のなの」
「海水だからお塩があるね」
「そのお塩で消毒するのね」
「そうだよ、それでね」
海水をいつも沢山飲んでというのです。
「お口の中を奇麗にしているんだ」
「そうなのね」
「けれどその時はいつもより飲んでいなかったんだ」
「どうしてなの?」
「うん、喉の渇きを飲む以外は面倒臭くなったんだ」
「歯磨きの為に飲むことが」
「ちょっとしたことだけれど」
それでもだったというのです。
「面倒臭くなってしなかったら」
「虫歯になったのね」
「いや、しないことだよ」
本当にと言う白鯨でした。
「面倒臭がることはね」
「虫歯になる悪い運命になるから」
「そうだよ、だからね」
それだけにというのです。
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