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ある晴れた日に
716部分:清き若者来るならばその二

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清き若者来るならばその二

「それはね。なかったよ」
「そう、なかったの」
「一連の失踪事件の犠牲者で死んだ人はいないんだ。わかっている限りではね」」
「殺して埋めたっていうのは考えられないのか?」
 春華はこのことを真剣に心配していた。
「ああいう奴は何してもおかしくないだろ」
「だからわかっている限りはだよ」
 竹山は彼女にこの言葉をまた告げた。
「わかっている限りはね」
「そうか。わかっている限りはか」
「とりあえずそれはないから」
 あくまでわかっている限りであってもこう話すのだった。
「だから今のところは安心して」
「そういうこともこれからわかっていくのね」
「そういうことね」
 咲と凛が話す。
「あくまで今のところは」
「それだけわかっているってことね」
「若し人が死んでいるのなら」
 桐生はこのことを思うと顔が曇るのを抑えられなかった。
「恐ろしい話だね」
「だよな」
 野本がその言葉に頷いた。
「俺も悪いことはするけれどな」
「殺人とかはだよね」
「生き物を傷付けるのは大嫌いなんだよ」
 こう言うのである。
「食うのは仕方ないさ」
「それはいいんだ」
「そっちは」
「人間食わないと死ぬだろ」
 こう皆にも言う。
「だからそれは仕方ないだろ?」
「まあそうだよな」
「それはね」
 このことは皆もその通りだと頷く。
「食べないと死ぬし」
「だから余計に」
「けれどな」
 しかしであった。
「遊びでそうした生きている人や動物を傷付けたり殺したりするのは」
「絶対に駄目」
「そういうことなの」
「それは人間の行いじゃないだろ」
 嫌悪感をこれ以上はないまでに露わにしての言葉だった。
「そんなのはな」
「そうだよな、それは」
「それはね」
 皆も彼のその言葉に納得した顔で頷く。
「人間としてね」
「やっぱり」
「だからなんだよ」
 また言う野本だった。
「俺はああいう奴は絶対に駄目だ」
「あんたもそういうまともな感覚はあるからね」
「確かに馬鹿だけれど」
「おい、馬鹿は余計だよ」
 五人の今の言葉にはすぐに返した。
「俺だってな。これでもな」
「ちゃんと考えてるっていうのね」
「つまりは」
「そうだよ」
 まさにその通りだというのである。
「というか俺はいじめとかそういうのも大嫌いなんだよ」
「これは事実だよ」
 従兄弟の竹山がここで話す。

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