第七十二部第一章 マウリアの人口統計その十
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「そのマウリアからの手も借りてな」
「助けの手があれば、ですか」
カミュは鋭い目になって述べた。
「それを受ける」
「少なくとも振り払っていいものか」
「プライドで」
「プライドは確かに大事だ」
ギルフォードはこれは否定しなかった、何しろ彼も貴族だ。貴族だからこそそのプライドについて話したのだった。
「しかしそれだけでだ」
「国を発展させられるか」
「私個人のそれで発展を潰してはだ」
「ならない」
「そうお考えですか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「私は誰の助けも借りない」
「総統ご本人としては」
「そうして生きてきたしだ」
「これからもですか」
「助けは借りない、しかし」
「エウロパは、ですか」
「今は私個人のプライドで潰させはしない」
例え国家元首である総統であってもというのだ。
「マウリアからそうした手が差し伸べられているのならな」
「受け取ってですね」
「使う」
「国家の発展に」
「そうする、是非な」
こうカミュに言うのだった。
「そうした考えだ」
「左様ですか」
「そしてだ」
さらに言ったギルフォードだった。
「発展するつもりだ、暗黒宙域もだ」
「越えますか」
「まずは国内の発展を軌道に乗せる」
マウリアから受けた技術を使いだ。
「そしてだ」
「暗黒宙域を越えますか」
「一度で踏破は無理だ」
数十万光年の距離がある、向こう側の多くの星系達までだ。
「大海原と同じだ」
「かつての地球の」
「それとですね」
「そうだ、大西洋か太平洋か」
こうした太洋の名も挙げた、この二つの海を南北に分けてインド洋と南氷洋、北氷洋で七大洋と言われている。この時代でもだ。
「わからないがだ」
「まさに太洋ですね」
「あの暗黒宙域は」
「我々の前に広がる」
「それですね」
「我々の祖先は越えた」
その大海原をというのだ。
「そしてだ」
「多くの犠牲を払いましたが」
「嵐や飢餓、壊血病に襲われて」
航海中にだ、海賊に襲われた者も多い。大航海時代は多くの犠牲も払いつつそのうえで富を手に入れていた時代だったのだ。
「それでもでしたね」
「大西洋を踏破しましました」
「新大陸にも到達しました」
「喜望峰も回り」
「インド洋も越え」
「アジアにも至りました」
カミュだけでなくアランソも言う。
「暗黒宙域も越え」
「その先の富も手に入れますか」
「是非な、今言ったが一度では踏破出来ない」
数十万光年の距離はだ、それだけの距離の移動はエウロパはおろか連合の艦船でも不可能な距離である。
「しかし中継地点は築けるな」
「ではコロニーをですね」
「そうだ、築いていく」
スペースコロニー、それをというのだ。
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