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ある晴れた日に
712部分:冬の嵐は過ぎ去りその十二

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冬の嵐は過ぎ去りその十二

「お腹を思いきり蹴って。未晴に襲い掛かろうとしてきて」
「その時になの」
「はい、思いきり」
 こう晴美に話すのだった。
「蹴ってそれで」
「静華ちゃんがしてくれたのね」
「いえ、それは私じゃなく」
 彼女ではないと自分で話すのだった。
「こいつが」
 そして正道を指差すのだった。未晴の車椅子を持っている彼をだ。
「やってくれたんですよ」
「正道君がだったのね」
「はい、そうです」
「一撃だったんですよ」
「それで終わらせたんです」
 五人は静華と共に話していく。
「一気に」
「未晴を守って」
「有り難う」
 それを聞くとであった。あらためて頷く晴美だった。そうしてそのうえで正道に顔を向けて告げるのだった。
「未晴はいい彼氏を持ってるわ」
「俺がですか」
「ええ、そうよ」
 まさに彼がだというのである。
「この娘も幸せだわ」
「幸せですか」
「人はね。素晴らしい人と出会えることがまず幸せなのよ」
 それが第一だというのだ。
「だから。貴方と出会えたことが」
「そうですか」
「これからも宜しくね」
 涙を流しそうだった。だが笑顔と共の言葉だった。
「未晴のことを」
「わかりました」
 そしてであった。正道も彼女の今の言葉にだ。静かにだが確かに頷いた。暗い病室の中だったがそれは確かに見えた。
「何があっても。俺はこいつと離れません」
「ええ、御願い」
「俺もこれから」
 そうするというのである。
「こいつとずっと」
「有り難う。それじゃあ今は」
「はい、それじゃあ」
「今日はこれからどうするの?」
「明日また来ます」
 そうするというのである。今日は帰るというのだ。
「これで」
「そうなの。帰るのね」
「ええ、今日は」
「そうします」
 そして他の面々も言うのだった。
「また明日来ますから」
「これで」
「わかったわ」
 晴美もそれで頷くのだった。
「それじゃあ明日ね」
「明日来ますから」
「それで」 
 こうして未晴をベッドの中に寝かせてである。皆自分の家に帰った。正道が家に帰るとだった。ギターケースを自分の部屋に置いてからリビングに入る。そうするとだった。
 母からだ。声がかかってきた。
「ねえ」
「何だ?」
「あんた大きくなったわね」
 こう言ってきたのである。
「何かね」
「そうか」
「ええ、そうよ」
「そうだな」
 母だけではなかった。父の声もしてきた。見れば二人は食堂にいる。そこで夫婦で食器洗いをしている。

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