第七十二部第一章 マウリアの人口統計その四
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「どうしてもだ」
「マウリアにおいてもですね」
「存在は無視されてだ」
「政府が存在していても」
「その実態は知られていなかった」
「彼等自身は把握していますね」
アウトカースト層の者達はだ、マウリアの。
「自分達の政府も」
「そうだった、しかしだ」
「同じ国にいましても」
「まさに二つの世界が存在していた」
「カーストの世界とアウトカーストの世界」
「その二つにな」
同じ街や村にいても完全にだ、別世界であったのだ。お互いの世界を無視してそのうえで暮らしていたのだ。
「それは今もでだ」
「彼等は同じ世界に存在する別世界ですね」
「異次元、いやパラレルワールドか」
「そうしたもので」
「同じ世界にあるな」
「不思議ですね」
「私もそう思う、しかしだ」
それでもというのだ。
「マウリアではだ」
「それが、ですね」
「普通にあったのだ」
これまではというのだ。
「一つの国に二つの政府がありだ」
「カーストとアウトカーストがですね」
「併存していたのだ」
「アウトカースト層の政府は」
アランソがここで言った。
「軍事や外交は、ですね」
「それはしてこなかった」
「警察があってもですか」
「彼等の中でのことでだ」
アウトカースト層のだ。
「カーストの社会には関係がなかった」
「軍事や外交はカーストの政府が行っていて」
「そちらはしてこなかった」
アウトカースト層の政府はというのだ。
「一切な」
「それは、ですね」
「あった、しかしだ」
「それでもですか」
「このことも大きかった」
そのアウトカーストの者達にとって、というのだ。
「軍事費という負担をかけなくて済んだのだからな」
「それで、ですね」
「かなりの予算を確保出来ていて」
「それで栄えてもいた」
「そうなのですね」
「そうだった、軍事費や外交でに負担がないだけにだ」
「予算もですか」
アランソは国家予算の話も出した。
「かなりですね」
「あったのだ」
実際にというのだ。
「あの政府にはな」
「クリシュナータ主席はその予算と予算を生み出す産業をですか」
「マウリアに入れたいのだ」
「一気に国力を上げ」
「しかも国家を統一する」
「その為にですね」
「そう考えているのだ、中にはだ」
アウトカースト層の産業、その中にはというのだ。
「マフィアのものもある」
「マウリアでは、ですね」
「そうだ、アウトカースト層の中にだ」
「マフィアもいますか」
「そうした仕事を代々する者達がな」
カーストには入っていないがカーストとして受け継いでいっているというのだ、このことがまたマウリアの複雑なところだ。
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