第三章
[8]前話
彼は家臣達にこう言った。
「ではここはな」
「はい、是非ですな」
「万千代を待ちますな」
「そうしますな」
「あの者は戻って来る」
確かな声で言うのだった。
「だからな」
「待ちますな」
「何があろうとも」
「そうする」
こう言って直政を待った、そしてだった。
直政は戻って来た、それも無事に。それでだった。
家康は彼を手放しで迎えてだ、笑顔で話した。
「よく戻って来た」
「はい、こうして」
「そなたの忠義と勇気をな」
家康は供の者達と共に直政に話した。
「わしは忘れぬぞ」
「そうして下さいますか」
「忘れる筈がない」
家康は直政に確かな声で答えた。
「とてもな、それでじゃが」
「それでとは」
「お主はこれから一軍を率いてじゃ」
徳川家の中でというのだ。
「働いてもらいたい」
「それがしがですか」
直政は徳川家では外様である、徳川家の家臣達は代々三河から仕えている者が多くその為団結力も強い。
その為他の家に比べて外様の扱いが悪い雰囲気があるがというのだ。
「一軍を」
「うむ、そうしてもらう」
その徳川家の主として言うのだった。
「これよりな、そしてな」
「これからはですか」
「これまで以上に働いてもらうぞ」
直政に満面の笑顔で話した、そして直政は徳川家の中で一軍を率いる様になりそれからも果敢に戦っていき。
徳川四天王の一人となりまた井伊家は徳川幕府の譜代大名の中でも筆頭となり破格の家となった。そのはじまりはこの赤飯を食わなかったことにある、そのことをここで書き残しておくことにしたい。
食わない訳 完
2019・3・13
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