第四章
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「今は」
「それは何故でしょうか」
「今宮中に来られる時馬車に評判の悪い女優が乗っていましたね」
「そのことですか」
カウニッツは面長のやや細い目の顔で応えた、そのうえで女帝の青い目がはっきりとしておりふくよかさと年齢を感じさせるにしても非常に整った女帝の顔を見つつ答えた。
「彼女とは親しいことはです」
「認めるのですね」
「はい、ですが陛下」
カウニッツは怒っている女帝とは対照的に非常に落ち着いた物腰で話した。
「私は今は政のことで、です」
「ここにですか」
「参上しているのです」
女帝の前にというのだ。
「ですから政の話を」
「それは行いますが」
それでもとだ、女帝はカウニッツに怒った顔のまま話すのだった。
「その前にです」
「このことをですか」
「私は貴方に怒ります」
「政のこととは別に」
「はい、宮中のことは全て私が責任を持つことですから」
それ故にと言うのだった、この様にだった。
女帝はこと男女のことには厳しくだ、周りの侍女達に各国の君主達のことも話していた。
「フランス王は代々です」
「とかくですね」
「女性がお好きな方が多く」
「それが問題ですね」
「寵妃だけでなく」
侍女達に嫌悪の顔を込めて話した。
「多くの相手をお持ちですね」
「ルイ十四世は有名ですね」
「あの方は」
「今の王様も」
「左様ですね」
「他国のことですが」
それでもというのだ。
「ああしたことは」
「あってはならないですね」
「やはり」
「はい、マリア=アントニアにもです」
女帝の末娘でありそのフランスに嫁ぐことが決まっている彼女にもというのだ。
「嫁ぐ時には強く言っておきます」
「あの様にしてはならない」
「男女のことだけはしっかりとですね」
「倫理を守らなくてはならない」
「夫婦あってこそですね」
「夫がいて妻がいる」
それがというのだ。
「最もよいことですから」
「そこから離れてはなりませんね」
「絶対に」
「人であるなら」
「はい、ですから」
それ故にというのだ。
「私はです」
「これからもですね」
「我が国においてそこはしっかりとですね」
「されますね」
「そのことも確かに治めていきます」
男女、もっと言えば夫婦の絆を大事にすることを政に入れてというのだ。
「ですからいかがわしい店や仕事はです」
「取り締まっていく」
「そうされていきますね」
「私がこの世にいる限り」
まさにと言うのだった。
「そうしていきます」
「左様ですね」
「そして女帝陛下も」
「ご自身もですね」
「言うまでもありません。私はです」
他ならぬ女帝自身もというのだ。
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