第三章
[8]前話
「そのことがあって」
「そうよ、皆あんたを高校は普通科に行かせてね」
「大学は経済学で」
「会社では事務や会計をしてもらってね」
そうしてというのだ。
「現場には出さなかったのよ、建築現場ってやっぱり危ないわね」
「ええ、ヘルメット被って作業服着て安全靴と手袋でも」
そうしたもので身体を守っていてもとだ、由梨も家の仕事なのでわかっている。
「危ないわ」
「そうでしょ、それでね」
「顔に怪我したり」
「身体に怪我をしてね」
「傷が残る様なら」
「そんなことあったらいけないからね」
だからだというのだ。
「皆あんたを現場には出さないの。他の女の人もね」
「皆なのね」
「そんなことがあったら駄目だから」
「うちの会社ではなの」
「そうしてるの、あんたは家族だから絶対にうちの会社に就職するから」
このことが決まっていたからだというのだ。
「そうしたのよ」
「そうだったのね」
「ええ、だから今思うのよ」
笑顔になってだ、祖母は由梨に話した。
「本当によかったわ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでとだ、祖母はさらに話した。
「その奇麗な顔でね」
「今からっていうのね」
「式に出るんだよ」
「ええ」
祖母の言葉を聞いているうちにだ、由梨は家族そして親戚の自分への気持ち、想いをわかってだ。思わず目に涙を浮かべてだった。
そのうえで笑顔になって祖母にこう言った。
「今からそうしてくるわ」
「それでね」
「幸せになるわ」
こう祖母に言ってだった、由梨は式場に向かった。その彼女に祖母だけでなく家族の者達が来た。そうして奇麗な顔の由梨を幸せの場に送り出した。大切な彼女を。
手伝わせない理由 完
2019・5・8
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