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ある晴れた日に
700部分:呪わしき美貌その十二
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であった。まずは駅に駆け込んだ。そうして吉見のマンションがある場所の最寄の駅にまで向かうのであった。
 その中でだ。野茂と坂上が話をしていた。電車の中で立ちながら肩で息をしている。
「前に調べておいてよかったな」
「そうだな」
「何時かとっ捕まえてやろうって思って調べておいてな」
「よかったな」
「そうだね」 
 桐生が二人のその言葉に頷く。皆ドアのところに集まって立っている。その中で話していた。
「こうした時にすぐに動けるからね」
「じゃあ行くか」
「すぐに」
「一気に」
 窓の外を見る。電車の窓から街並みが見える。しかしそれは今の彼等の目には入らなかった。
「まだか?」
「まだ着かないの?」
「あいつの場所に」
「焦るな」
 正道がまんじりともせず述べた。
「これは」
「そうね。ここは」
「本当に」
 それは誰もが同じだった。焦る顔でそれぞれそこに立っていた。
「着いたらまずは」
「交番だよな」
「そこでお巡りさんに来てもらって」
「それを最初にしよう」
 高山も額の汗をまだ拭きながら皆に言っていた。
「それでね。それから」
「未晴を助けに」
「あいつの家に」
「ただ」
 しかしここでまた言う竹山だった。
「気をつけないといけないのは」
「気をつける?」
「何を?」
「僕達が法律を犯してはいけないよ」
 彼が言うのはこのことだった。
「それはね。多分この調子だと向こうより早く辿り着けるし」
 これは彼の頭の中での読みだった。未晴のベッドはまだ温かかった。つまり連れ去られてすぐだ。しかも車椅子で電車とは連れ去るにあたって目立つ。ばれる恐れがある。それなら車を使って連れ去った筈だ。それはタクシーの件で指摘した通り思ったより時間がかかる。それならである。
「だからね」
「先回りね」
「だったら」
「行こうか」
 皆で言い合ってであった。そのうえで今駅に着いた。そこをすぐに降りて。彼等は運命の場所に向かった。クリスマスは恐ろしい一日になろうとしていた。


呪わしき美貌   完


                2010・1・28

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