第六章
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「JFKがいるからな」
「ウィリアム、藤川、久保田がな」
「あの三人出したらもう勝ちだしな」
「三人の起用が万全だしな」
「今の阪神は強いな」
「七回以降まず点を取られないからな」
三人の存在が大きかった、そしてその彼等を使う岡田の采配もよかった。彼は監督として胴上げを受けた。
「まさかな」
「監督としてですか」
「胴上げされるとは思ってなかったですか」
「そらそうよ、二十一年優勝せんでや」
岡田は自分が子供の頃からのファンとして観ていた阪神のことから話した。
「わしが現役やった頃に優勝したやろ」
「八十五年ですね」
「あの時ですよね」
「あれからまたな」
「はい、長かったですからね」
「ずっと優勝していなくて」
「それで一昨年優勝したやろ」
星野が果たしたそれだ。
「それでわしもなんてな」
「思われてなかったんですね」
「ご自身が胴上げされるとか」
「そうしたことは」
「優勝出来る自信はあったで」
これ自体はというのだ。
「けどわしが胴上げされることはな」
「そのことはですね」
「夢ですか」
「そんな感じでしたか」
「そやったわ、けど優勝出来てな」
それでというのだ。
「胴上げしてもらってほんま故みたいや」
「けれど夢じゃないですよ」
「阪神優勝しましたよ」
「今こうして」
周りの者達は岡田に笑顔で話した、岡田は監督としても阪神の人間だった。
そして阪神の監督を退いても解説者として阪神を観ている、それで言うのだった。
「わしは生まれてから死ぬまで阪神やな」
「阪神と共にある」
「そう言われますか」
「そや、お父ちゃんが阪神ファンで」
玉造の父がというのだ。
「わしもファンになってずっと阪神そして甲子園と触れ合って」
「阪神に入団して」
「監督もされて」
「それで、ですね」
「今も阪神を観てる、ほんまにな」
明るい笑顔で言うのだった。
「わしは阪神の人間やな」
「まさに生まれてから死ぬまで」
「そうだっていうんですね」
「そや、わしはほんま阪神の人間や」
岡田はこのことを実感しそのことに幸せさえ感じていた、そうして今も阪神と共にあるのだった。甲子園で選手達を前にしてそのことを実感していた。
阪神男 完
2019・5・13
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