第五章
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その岡田を見てだ、ファン達は言った。
「岡田いてよかったわ」
「ほんまやな」
「まさに生粋の阪神人やしな」
「大阪生まれでずっと阪神に親しんでるな」
「高校野球でも甲子園に行ってるし」
「大学の時だけや」
甲子園から離れていたのはというのだ。
「あの時だけや」
「けど阪神に来た」
「甲子園に戻ってきたさかいな」
「岡田はほんまに阪神の人間や」
「阪神以外は考えられんわ」
「ＣＭも阪神のユニフォ―ムで出てるしな」
サンガリアのＣＭだ、うどんのＣＭにも出ていてこのどんでんという名前がそのまま彼の仇名にもなっている。
「バースや掛布もそやが」
「あいつはほんま阪神の人間や」
「阪神の人間でもな」
「筋金入りの阪神人や」
「そんな人間がおるってええな」
「それで活躍してくれてるのがな」
こう言うのだった、岡田を見て。
実際に岡田は阪神で活躍し続けた、しかもそれは選手時代だけではなかった。
彼は阪神の二軍監督になった、それでこの時こう言った。
「二軍でじっくりな」
「若手を育ててですね」
「そうしてですね」
「そや、今阪神は苦しいが」
暗黒時代とさえ言われていた、彼が二軍監督になった時とかく阪神は弱く最下位が定位置とさえ言われていた。
「若手をしっかり育てるとな」
「その人材がですね」
「チームを強くしてくれますね」
「そやからですね」
「二軍で、ですね」
「若手をじっくり育てていくで」
岡田はこの言葉の通り若手を育てた、阪神は二軍では優勝し一軍に優秀な若手を送っていけた。そして星野仙一が阪神の監督になり。
阪神は優勝した、ここで岡田の二軍監督としての手腕があらためて評価された。
「やっぱり星野さん凄いけれどな」
「阪神の意識改革をしてくれたな」
「星野さんがいたから阪神優勝したな」
「これは事実だよな」
「けれどな」
星野の功績だけでないと言うのだった。
「岡田さんもいてだからな」
「あの人が二軍でじっくり若手育ててくれたしな」
「そのことも大きいよな」
「次の監督はあの人だろうな」
「しっかりしてるのは間違いないしな」
阪神を知る者達は岡田ならと思った、そして実際にだった。
岡田は阪神の監督となった、すると二年目で阪神を優勝させた。優れた打線に何といっても万全の中継ぎ抑えの力故にだった。
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