第二章
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「それがね」
「もうね」
「旦那さんの悪口ばかりで」
「あれが嫌これが嫌とか」
「昔のこととか書いたり」
今更になって怨んでだ。
「恨みつらみばかりで」
「何から何まで悪口ばかりで」
「酷い呟きや文章ばかりで」
「見られたものじゃないわ」
「もう見ないでおこうかしら」
「それがいいわね」
夫への悪口やそうしたものばかり書いているからだとだ、友人や親戚達も思い出した。そしてネット上でつながっている者達もだ。
その呟きや書き込みを見てだ、うんざりとなっていた。
「この人どうなったんだ」
「旦那さんの悪口ばかり言ってるな」
「そんなに嫌いか?」
「よくこんなに恨めるな」
「給料のこととか家のこととか食いものの好みとか」
「好きな芸能人のことまでな」
「全部否定して罵って嫌味言ってな」
そうしてというのだ。
「口汚い感じでな」
「悪口のオンパレードじゃないか」
「この人おかしくなったか?」
「呟いて書いてる時の自分の顔想像してみろよ」
「どれだけ醜いんだよ」
「こんな文章もう見たくないな」
「全くだな」
中にはコメント等でもうそうしたことを書くのは止めた方がと忠告する者もいた、だがしおりはそうした書き込み等をだ。
片っ端から削除してロックしていった、そうしてとにかくだ。
夫の悪口を言っていった、それは離婚調停に入った時も同じで弁護士の山河隆夫にだった。離婚の慰謝料の話やそうしたことは一切喋らずにだ。
彼に会えばとにかく夫への悪口ばかりだった、山河に会う度に最初から最後まで延々と言い続ける。それでだった。
山河はその丸々とした、力士の様に太った顔と身体で助手の南一代に話した。
「あの人だけれど」
「おかしいですよね」
南もこう言うことだった、南は色白で頬のふっくらとした二十代の女だ。黒髪を左右に編んでいて目が可愛らしいが今はどうかという目になっている。
「どう考えても」
「あの人旦那さんの悪口しか言わないじゃない」
「お会いすればもう」
「一から十までっていうかね」
「何から何までで」
「他言ってる?」
夫への悪口以外のことをというのだ。
「俺聞いたことないよ」
「私もですよ」
「慰謝料とかの話をこっちがしても」
肝心のそれをだ。
「聞かないでね」
「旦那さんへの悪口ばかりで」
「離婚って色々でね」
山河は離婚調停が主な仕事だ、それで生臭かったりドロドロしたものも見てきた。職業柄と思って割り切っている。
それでだ、南に自分達の事務所に帰ってから言うのだった。
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