第二幕その七
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「不思議にならないのよ」
「外の世界にいないことを知っていてこの世界にいることを知ったら」
「不思議になるのよ」
「そういうことよね」
「そう、それでね」
さらにお話する恵梨香でした。
「私達はね」
「外の世界にはもういないことを知ってるから」
「オズの国でドードー鳥を見て不思議に思うのね」
「そういうことよ」
「そのことがわかったわ」
ビリーナは納得した声で述べました。
「本当に」
「それは何よりよ」
「ははは、わしは何でも不思議に思っているぞ」
リンキティンク王はそうでした。
「それこそな」
「それでいつも笑うんだね」
「そうだよ、高らかに」
船長にもこう答えます。
「不思議でかつ楽しい」
「王様にとって不思議は楽しいだね」
「同じだよ」
「そうなんだね」
「だからいつも楽しい」
「それは何よりだね」
「うむ、ただ」
王様はこうも言うのでした。
「最近お客さんが来てくれなかったことは寂しかったぞ」
「それを言ってたんですよ」
王子も皆にお話します。
「お客さんが来て欲しいと」
「そうだったんだね」
「僕と遊びながらも」
そうしてもというのです。
「そう言ってたんですよ」
「そうですか」
「そして今です」
「わし等が来て」
「凄く嬉しいんですよ」
「お客さんが来たら一緒に遊べるからな」
だからだと言う王様でした。
「本当に嬉しいよ」
「それでわし等に一日でも二日でもだね」
「この国に来て欲しいと言ったんですよ」
「そういうことか」
「この前お客さんが来たのは一月前か」
王様はこの国に最後にお客さんが来た時を思い出しました。
「ボタン=ブライトが来たのう」
「あの子が来たのかい」
「うむ、しかしな」
「あの子はね」
「いきなり出て来てのう」
そうしてなのです、ボタン=ブライトという子は。
「いきなりいなくなるからじゃ」
「それでだね」
「三日この国にいたが」
「寝て朝にかな」
「起きて来ないので部屋に行くといなかった」
「いつも通りだね」
「それでスマホに今何処かと聞くとカエルマンの家じゃ」
そこにいたというのです。
「いつも通り寝ている間に瞬間移動じゃ」
「あの子の特殊能力だよ」
「いつも通りだめ」
「それでわしはな」
ボタン=ブライトがカエルマンの家に行ってです。
「笑ったわ」
「不思議なことだと思ってだね」
「それでじゃ」
まさにというのです。
「大笑いしたわ、しかしじゃ」
「お客さんがいなくなって」
「それで寂しくなったわ」
「やれやれだね」
「しかし今日君達が来てくれた」
また笑顔で言う王様でした。
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