第七話 二度目の『誓い』
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この事だと思ってね」
「放せ! 俺は『鍛鉄』だぞ!」
「はぁ? それがどうした! こちとら『鍛鉄』の契約済みじゃい! 位階を振りかざすなんてダッサイ真似するんじゃないの!」
二人は風紀委員のお言葉に甘えて礼を言って歩き始めた。その途中、氷絃は「あっ」と何かを思い出したような声を漏らした。
「どうしました?」
「いや、あの風紀委員の先輩が入学式の日に保健室にいたなって思い出してな」
「そうなんですか」
「サボってたらしいんだが……まさか風紀委員だったとはな……」
そう会話をしていると、二人はお目当ての建物の前に到着した。外観は『京都らしさ』を損なわない大人しい木製のモノ、看板に類するモノは何も出ていないが中からは甘い匂いが微かに鼻に届く。
二人は慣れたように外の階段を登り、木製の扉を開ける。中は一人用のカウンター席が数席にテーブル席が五つ、所謂和風カフェというものだ。
「いらっしゃい……ってお前たちか。いつもの席、空いてるぞ。まぁ見ての通り従業員以外誰もいないんだけどな、アッハッハッ」
迎えてくれたのはカウンター席を挟んで甚平を着て何やら作業をしていた人物、このカフェの店長である白幡彰一だ。聖境の卒業生であり、元学園長である緑王世代最後の生徒の一人だ。
「どうも、白幡さん。そろそろ看板くらい出したらどうなんですか?」
「こんにちは、白幡さん」
二人は挨拶をして、いつも座るテーブル席に腰を降ろした。
「いつものにするかー?」
「あー、俺はいつもので。冴空はどうする?」
「私もいつものでお願いします!」
「あいよー」
中等部の頃に(匂いで)冴空が見つけてから通い始めた二人はこうして簡単に注文できるような常連となっていた。
少しすると着物に身を包んだウェイトレスが二人の元へ飲み物を運んできた。氷絃は『珈琲緑茶』冴空は『黒珈琲』を取って少しだけ飲む。まだ各自にあと一品ずつ来るが、それが来るのにはまだ時間がかかる。
「冴空、話をしていいか?」
「はい、なんですか?」
氷絃は真剣な顔をしてそう聞くと、それを察した冴空も同じく真面目な顔をして頷いた。
「まずは、今まで『契約』の話をはぐらかしてきて、ちゃんとした返事をしなくて悪かった」
そう謝罪して氷絃は頭を下げる。
「だ、大丈夫ですよ。頭を上げてください、氷絃くん」
それに対して冴空は少し困った表情で頭を上げるように促した。氷絃は頭を上げ、続ける。
「俺は今まで、あの時からただ冴空を危険な目に遭わせたくない。契約をして、冴空が俺の魔女になるとどうしても危険な目に巻き込む可能性が高くなる。俺はずっと冴空を未契約状態にしたまま、後ろに置いて、危険な目から完全
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