第七話 二度目の『誓い』
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」
話しかけてきた男子は中等部の頃に冴空にしつこく契約を求めていた。まだ冴空のことを諦めていないようで、こうして話しかけてくるのはそう珍しくない。
「ごめんなさい。人を待っているので。それと契約の話は前に断ったはずですよ」
「いやいや、俺は諦めてねぇから。あと待ってる人なんてどうせ阿國だろ? なら別にいいじゃん、珠充さんは優しいよなぁ。あんな『製鉄』の根暗落ちこぼれでも幼馴染だから一緒にいなきゃって思ってるんでしょ?」
と、氷絃の悪口をペラペラと喋る男子生徒に冴空はムッとした表情になった。
「そんなことないです。私の幸せは氷絃くんと一緒にいることです。少なくとも私の大切な人の悪口を言う貴方より何千倍も素敵な人です!」
その反論は予想外だったのか一瞬呆気にとられたが、プライドが高いと有名な聖境学園の生徒は自分が見下している人物の方が持ち上げられたと理解した途端、目の色が変わった。
「んだと、この……!」
頭に血が昇り、振り上げられた手が振り下ろされる瞬間に二人の間に人影が入り込んだ。
「……この手はなんだ?」
氷絃が男子生徒の腕を掴み、そう問いかける。高校一年生にしてはやや高い身長の氷絃はその男子生徒を冷たく、睨んだ。
「阿國……! くそっ、放せ!」
「あ? まず質問に答えろ。テメェは冴空に、何をしようとした?」
振りほどこうとする男子生徒を微動だにせず、氷絃は掴んだまま放そうとしない。だが、冴空が背後から裾をくいっと引っ張る。
「氷絃くん、私は大丈夫ですから……」
「……わかった」
そう受け答えした途端、氷絃はパッと手を放した。
「……くっそ……落ちこぼれの分際で……」
「別に俺の悪口ならいくら言っても構わない。冴空に話しかけるのも、誘うのも、契約の話をするのもな。けど、冴空に何かしてみろ。全力で潰すからな。
冴空、行くぞ」
冴空の手を取り、その場を後にしようとしたところ、離れた場所から笛を鳴らす音が氷絃の耳に届いた。その方向を見るとどこか見覚えのある女子生徒が走って寄ってきた。その制服の二の腕部には「風紀委員」の腕章がくくりつけられている。
「はーい、止まってね。校内での暴力沙汰に類するのは書面に記さないといけないの。大人しくクラスと名前を教えてね? あ、ちなみに今回のは暴力未遂だよん」
「1-C 阿國氷絃」
「同じく1-C 珠充冴空です」
「……クソッ!」
「こらっ! 大人しくしなさーい。高校生にもなってみっともないぞっ!」
風紀委員まで介入してきたのが不味いと思ったのか男子生徒は逃走しようとしたが、風紀委員に軽く止められてしまった。
「あ、君たちは被害者だから今日は帰って大丈夫だよん。風紀委員から連絡が来たら
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