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渦巻く滄海 紅き空 【下】
二十七 的
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ったら────誰だ、アンタ?」

つい先ほどまで、サソリ様と仰いでいたカブトの変わり様に、変化を解いて素顔に戻ったヤマトは問い質した。


「カブト…お前こそ、サソリの部下だったんじゃないのか?『暁』のスパイとしてサソリに術をかけられて、」

ヤマトの詰問を、カブトは鼻で嗤う。それだけで、既にサソリの術は解けていたことが窺えた。

おそらく大蛇丸に解いてもらったのだろう、と見当をつけたヤマトは「大蛇丸に寝返っていたとはな」とカブトを非難する。主人をすぐに裏切ることを咎められたカブトは、ふ、と口許に笑みを湛えた。


「僕はこれでも一途だよ」
「どの口が言うんだか」

カブトとヤマトの会話を愉快げに眺めていた大蛇丸は「楽しそうにお話しているところ、悪いけど」と口を挟む。



「後ろの子ネズミちゃんを私に紹介してくれるかしら?」


背後で待機しているナル・シカマル・鬼童丸・左近達を示している大蛇丸に、ヤマトは瞠目する。

「全てお見通しってわけか…」

つい、と視線を背後の茂みに向ける大蛇丸を前にして、ヤマトは観念して合図を送った。



瞬間、ヤマトの合図でナル・シカマル・鬼童丸・左近が天地橋の上へ飛び出す。
眠る右近を背にする左近と鬼童丸に眼を留めた大蛇丸の片眉がついと上がった。






「まさか…生きていたとはねぇ…」

聊か驚愕の色が雑じる大蛇丸の声を久しぶりに耳にして、鬼童丸と左近の顔に汗が浮かぶ。



音の五人衆。
君麻呂・右近/左近・鬼童丸・多由也・次郎坊は、サスケが木ノ葉の里を抜ける際、死んだはずだった。
実際はナルトの許へ向かう為のカモフラージュとして死を偽装しようという目論見だったが、上手く成功したのは君麻呂・多由也・次郎坊のみ。

鬼童丸と右近/左近は、ダンゾウ率いる『根』に捕らわれ、いいように使われている始末。
よって、大蛇丸の前に顔を出すなど、自殺に等しいのに、こうして顔を見合わせる羽目に陥っている。


「裏切りか…」
「アンタにゃ言われたくないぜよ、カブトさん…」


顔を歪めるカブトに、せめてもの虚勢を張った鬼童丸を眼にして、大蛇丸は一瞬、不思議そうに眼を細めた。





















今にも戦闘が始まる間際の天地橋。

空気が張り詰め、緊張に満ちたその光景を遠く離れた場所から窺っていた彼は、口に得物をしっかと咥えた。
巨木に伸ばした蜘蛛の糸を張り巡らせ、己の八肢で巨大な弓を振り絞る。

空気に触れた途端に硬質・金属化する粘液【蜘蛛粘金】。
それによって作った強靭な弓矢【蜘蛛戦弓・凄裂】をしなやかに引く。

引き伸ばされた弓につがえ
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