第五十四話 最後の学期になってその三
[8]前話 [2]次話
「大学生になったらもっとよ」
「もっと？」
「そう、積極的にね」
「何に積極的なのよ」
これまた意味がわからない言葉でした。
「一体」
「だから言ったままよ」
「言ったままってどういうことよ」
「一年生の子大事にしないってこと」
「後輩の子だからなのね」
「そこからはじまってね、もうすぐ卒業だし」
「卒業はね」
このことを言われると私もでした、思うところがありました。
「何ていうかあと少しで」
「感慨あるわよね」
「ええ」
その通りでした。
「高校生活も終わりね」
「寮生活もね」
「色々あったけれど」
「そうよね、あっという間の三年だったわね」
「ええ、一年の時は凄く不安で二年の時は」
この時はどうかといいますと。
「真っ盛りって感じだったわね」
「高校生活の？」
「あの時は部活に忙しい感じだったわ」
今思うとです。
「長池先輩がおられなかったけれど」
「あの人ね」
「そう、二年生になったししっかりしないとって思ってたし」
四月の時は特にでした。
「その中でね」
「頑張ってたのね」
「そうなの。ただ今思うと」
卒業間近に振り返ってみるとです。
「何かね」
「何かっていうと？」
「何か足りなかった感じがするのよ」
ここで頭の中に浮かんだのは阿波野君でした、あの如何にもお調子者っていうお顔を思い出して少し不機嫌になりました。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ﾍﾟｰｼﾞ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿ｻｲﾄ〜
利用規約/ﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰﾎﾟﾘｼｰ
利用ﾏﾆｭｱﾙ/ﾍﾙﾌﾟ/ｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ
お問い合わせ
2024 肥前のﾎﾟﾁ
しおりを解除