683部分:日の光は薄らぎその十三
[8]前話 [2]次話
日の光は薄らぎその十三
「見事にひっくり返されてな」
「しかも巨人にな」
「馬鹿か?ありゃ」
挙句にはこんな言葉まで出て来た。
「あれだけゲーム差あって負けるかよ」
「新井は不調になったしな」
「鳥谷も打たなくなったしな」
「打たないと勝てないんだよ」
「打てば勝てるわ」
恵美の言葉である。
「そうすればね」
「そうだよ、打てばな」
「けれどな、阪神ってな」
「伝統的に打たないのよ」
「本当にね」
「ダイナマイト打線は?」
咲はそれを言った。
「阪神の看板じゃなかったの?」
「あれ一時期だけだから」
竹山が彼女に答えた。
「本当に一時期だけだから」
「じゃあ殆どの時期は」
「そうだよ、ピッチャーのチームだったから」
彼もよく知っていた。
「小山とか江夏とか村山とかね」
「本当に全部ピッチャーね」
「他にもバッキーもそうだったし上田とか権藤とか江本もそうだし。小林も」
次々に名前が出て来る。
「皆ピッチャーだし」
「ホークスもそういえば」
咲はここで自分の贔屓のチームのことも考えてみた。すると。
「大体ピッチャーがいい時期って」
「弱いよね」
「そうなのよね」
その時のことを思い出しての言葉である。
「ダイエーの初期は逆に打つだけだったけれどね」
「バッターが打つ方がいいよな」
「そうよね」
「絶対にな」
阪神ファン側からの言葉である。
「こっちはピッチャーは何時でも揃うからな」
「不思議とな」
「後はバッターだけ」
「それさえ揃えば」
「勝てるのにな」
「全くだ」
こう言いはする。しかしここで咲がまた言ってきたのであった。
「けれど阪神って」
「何だよ」
「それで何よ」
「いや、阪神っていつもあれじゃない?」
二度前置きしたうえで、であった。
「何でかね。バッターは取ってもよくならないじゃない」
「兄貴は違うぜ」
「なあ」
「活躍してるよな」
金本についてはそうであると力説するのであった。
「ちゃんとな」
「いけてるよな」
「四番として頼りになるぜ」
「だったらいいけれどね」
それならという今の咲の口調だった。
「それだとね」
「何か引っ掛かる言い方ね」
「確かにな」
「今のはな」
阪神組は多少以上にナーバスになってしまっていた。そうして言うのであった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ