第二百XX話 もっともおぞましき快楽について
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織斑一夏は吸血鬼である。
吸血鬼の力は闇の力。
それは知らぬ間に一夏の心を侵食していく。
それは残虐性の発露。
だが、これまで一夏がその残虐性を『見せた』ことはあまりない。
嘗て彼は二回だけ、その残虐性を他者に向けた事があった。
一度目は、旧デストピアに対して。
彼の吸血鬼をなぶり、切り裂き、その内臓を食らった。
が、それは彼が吸血鬼となる以前の事。
二度目は吸血鬼になってすぐ。
両親の仇であるヴィーティングとその配下に対して。
配下の兵には摘出不可能な鉛弾との生を。
ヴィーティングにはこの世の物とは思えぬ苦痛を。
しかしその後は己を律してきた。
何度か行った『食事』もただただ食べるだけ。
『食糧』をいたぶる事はしなかった。
むしろ苦痛なく殺す慈悲を見せた。
だが、それでも。
否、それ故に。
一夏の中にある欲求は溜まり続ける。
織斑家地下。
ジオフロントの更に下。
その場所の存在を知るのは、一夏と束とコア達だけだ。
円筒型の部屋。
その中心に立つ一夏。
その目の前には、手足を縛られ、目隠しをされた三人の女が転がされている。
「ふぅ…。箒を殺そうなんてバカな事考えたねぇ?」
猿轡を噛まされた女達が一夏の声の方向を布越しに睨む。
「おいおいそんな怖い顔すんなよ。折角の美人が台無しだぜ?」
くつくつと一夏が笑う。
その瞳は、人の物とは思えぬ妖しい輝きを宿していた。
「ふーん…どうしてくれようか」
一夏はホロウィンドウを開くと、創作し始めた。
カンファレンスに接続し、大容量データベースの空きを確認する。
「ま、お前ら三人程度大したことはないか……」
そう言うと一夏は三人のコアエイドスプログラムをフルコピーし、データベースに記録した。
「おぉいマジかよ。三人とも処女か」
一夏が腹を抱えて笑う。
「普通に食うのも飽きたしなぁ。たまには遊んでみるかな」
一夏がサッと手を振ると、円筒の壁の一部が開いた。
「どう遊ぶか。それが問題だ」
一夏が見下ろす三人の女。
その顔は整形でもしたのか全く同じ顔だ。
「ま、工作員としては面白いコンセプトだな。
それじゃ自分の顔が恐怖やら快楽やらで歪む様子を見るなんて面白い事ができるわけだ」
開いたから透明な壁がせりだした。
まるで箱に入ったゼリー。
ただし箱を開けて横に立てたような。
そのゼリーの入った箱が、三つ。
一夏が女達に対して手を翳して振ると、女達が身に纏っていた物が全て消えた。
そしてボッと何かが一
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