第三章
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「先日二人でケーキを食べている時に」
「林檎か苺かで、ですか」
「少し言い合いになりまして」
それでというのだ。
「それならということになって」
「勝負とですか」
「なったのです」
「そうですか、ですがお二人の仲は」
「自分で言うのも何ですが非常にいいです」
夫人はセーラにはっきりと答えた。
「今も悪くなかったですね」
「勝負をされていても」
「私達は血はつながっていません、ですが私はこの家に来てからずっとあの娘と一緒にいて育ててきたのですから」
それ故にというのだ。
「愛情もありますしあの娘も」
「貴女をですね」
「慕ってくれているので」
「決してですね」
「仲は悪くありません、ですが食べもののことでは」
このことではというのだ。
「時々です」
「好みが分かれて」
「こうしたことになります、勝敗はその都度ですが」
「今回は、ですか」
「私は林檎が大好物なので」
「負けたくないのですね」
「林檎の誇りにかけて」
自分の、ではなかった。
「何としても」
「それで、ですね」
「最高の林檎のお菓子をお願いします」
「わかりました」
セーラは一応はこう答えた、だが。
依頼を受けてまずは料理を考える時点でダイアナに喫茶店でこれからのことを話す中でやや呆れた声で話した。
「ああした位の喧嘩は仲がいい証拠の一つでも」
「あれやね、二人共」
ダイアナはアップルティ―を飲みつつ自分と同じものを飲んでいるセーラに対してどうかという顔で話した。
「白雪姫のお妃さんと白雪姫さんにそっくりやけど」
「設定もそうだけれど」
「性格と関係はな」
「全然違うわね」
「七人の小人まで一緒やけど」
彼等もいるがというのだ。
「それでもな」
「何かと違って」
「仲がええことはよくても」
それでもというのだ。
「ああしてな」
「食べもので意地を張るのは」
「何かな」
「大人気ないわね、けれど美味しいものなら」
セーラは自分の職業である料理人のことから話した、麻友もそうだが彼女も料理の腕には絶対の自信がある。
「もう食材の場所もね」
「わかってるんやな、セーラさんは」
「ええ、そこに移動の術で行って買って」
その食材達をというのだ。
「そして私が料理するわ」
「それでお料理は何作るん?」
「アップルパイよ」
もう決めてあった、それは。
「それを作るから」
「それやな」
「それと飲みものはこれよ」
見ればセーラもアップルティーを飲んでいる、そうしつつ言うのだった。
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