第二章
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「食材については」
「貴女達が探して選んでくれた」
「そうしたものですか」
「林檎も調味料も他の食材も」
それもというのだ。
「お願いします、そしてです」
「お義母様、負けないですから」
ここで白を基調として青も入ったスカートと肩のところが膨らんだドレスを着た黒髪をボブにして赤いヘアバンドを付けている少女が出て来た。栗色の瞳と紅の唇、赤がさした白い頬が可愛らしい。背は一五〇程だ。見れば種族は先程義母と呼んだ夫人と同じく人間である。声は高く奇麗なものであるが声の高さは夫人よりも低かった。
「今度ばかりは」
「ローザ、それは私の言葉です」
夫人は相手の名前を読んで返した。
「林檎こそがです」
「最高のお菓子の素材と言われるのですね」
「そうです、美味しくかつ栄養が豊富で」
夫人は少女に毅然とした顔で答えた、だが声はやはり可愛らしい。
「お菓子にしましても」
「美味しいと言われるのですね」
「そのことは間違いありません」
「それはお野菜ですが苺です」
これが少女の返事だった、やはり毅然としている。
「苺こそがです」
「美味しく栄養が豊富で」
「最高のお菓子の素材です」
「ではどちらが上か」
「確かめましょう」
「お嬢、わし等がついてますよ」
ここで少女の後ろに七人のドワーフ達が出て来た、七人共赤い帽子に動きやすい服を着ている。
「わし等カプチッリ七兄弟」
「この世界で一番の苺畑を営んでいます」
「苺料理を作らせても世界一」
「それこそ誰にも負けませんぜ」
「バスティアニーニ家にも奥様にもお世話になってますが」
「苺が絡むなら苺の方につきます」
「ですから今回はお嬢につきますぜ」
こう七人で言うのだった、七人共髭は真っ白だ。
「ですから今回の勝負は」
「お嬢が勝ちますぜ」
「苺が勝つに決まってます」
「それを証明してみせます」
「奥様、悪いですが勝たせてもらいます」
「そうさせてもらいますぜ」
「怨まないで下さいよ」
夫人にも言う、だが夫人はドワーフ達に笑って返した。
「只のどちらが美味しいかのお話、怨みはしません」
「私もです。あくまでそれだけのことですから」
少女も言ってきた。
「お義母様を怨むなぞ」
「そうです、ではローザ」
「はい、これよりですね」
「勝負をしましょう」
「それでは」
二人は笑顔で話してだった、少女はドワーフ達と共に夫人に頭を下げてから礼儀正しく屋敷を後にした。夫人は一行を見送ってから再びセーラ達に話した。
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