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ある晴れた日に
678部分:日の光は薄らぎその八

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日の光は薄らぎその八

「椎名林檎様っと」
「またそれか」
「あんたも好きね」
 彼女が椎名林檎の歌を入れると皆少し呆れた。
「椎名林檎」
「しかも様付けだしよ」
 皆からこのことも言われた。
「殆ど崇拝じゃない」
「そこまで好きなのかよ」
「私のソウルソングよ」
 奈々瀬はにこりと笑ってこうまで言うのであった。
「林檎様はね」
「まあそれ知ってるけれどね」
「小学校の時だからだしね」
「本当にね」
 やはり五人はそれは知っていた。
「まあそれでもよ」
「有り得ない程好きだけれど」
「何かあるとすぐに聴くし」
「聴いてると本当に幸せになれるのね」
 その笑顔のまま話す奈々瀬であった。
「歌ってもね」
「こいつよ」
 春華が彼女を指差しながら言う。
「スワローズの応援の時だって椎名林檎聴いてるんだぜ」
「おい、スワローズはあれだろ」
「東京音頭だろ」
「東京音頭は第三の国歌よ」
 そちらはそうであるというのだ。
「それで椎名林檎様はね」
「ソウルソングかよ」
「国歌とは別に」
「そうよ。私にとってはね」
 そうして言う言葉は。
「国歌に匹敵するのよ」
「そこまで好きってことか」
「つまりは」
 男組はそれを聞いて唖然とさえしていた。
「本当にそこまでいくと信仰だよな」
「本当にな」
「まあ上手いけれどね、奈々瀬の歌って」
「確かにね」
 皆それは認めるのだった。
「この中で一番じゃないの?」
「ダンスは野本でね」
「まあ俺はな」
 その野本が真面目な顔で言ってきた。
「歌はダンス程自信がねえしな」
「そうよね。はっきり言ってあんたって」
「ダンスの方がずっと上手いな」
「確かにね」
 皆彼に対しても言った。
「どう見てもね」
「ダンサーだからな」
「それはもう才能ね」
「まあ俺もダンスの方が好きだしな」
 本人も真面目な顔でそのことを認める。
「動くのが好きだしな」
「そしてそれに対して」
「桐生はといえば」
「僕ってことは」
 何を言われるのは。既に本人は察していた。そして言われた。
「音痴よねえ」
「有り得ないまでに」
「それもかなり」
「自覚はしてるから」
 周りから言われて暗い顔になって返す彼だった。

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