暁 〜小説投稿サイト〜
ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百二十三話 人事刷新です。
[4/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
においてヤン艦隊に致命傷を与えたものの、自軍は少なくない被害を受け、3万余隻を失ったこと、100万人以上の将兵を犠牲にしたこと、そこから始まり、戦闘の詳しい勝報を最後まで途切れることなく語った。

「・・・・・・・・」

 イルーナ・フォン・ヴァンクラフトは3分間の間黙って瞑目していた。その間教え子はどんな思いで自分の次の言葉を待っているか、どんなに早く言葉を掛けてあげたいか、その思いを押し殺し、かけるべき言葉を彼女の頭脳は旋回しながら探し続けていた。

「フィオーナ」

 眼を見開いたイルーナはうなだれている教え子に声をかけた。

「あなたを宇宙艦隊司令長官から解任するよう、ローエングラム公に進言します」
『・・・・・・・・』
「3万余隻の損害と100万以上の将兵の損失は、ゴールデンバウム王朝ならば敗戦の責をとられ、即刻処刑されてもやむを得ないほどの咎よ」
『・・・・・・・・』
「けれど、ローエングラム公は違う。あの方は機会を与え、なお一層発奮させ、罪を雪ぐことこそを意義あるものとお考えになっておられるわ」
『・・・・・・・・』
「そして、私一人ではあなたをどうこうすることはできない。この意味は他ならぬあなた自身がよくわかっていることでしょう?私はあなたを諸提督、そしてローエングラム公に委ねるつもりよ」
『はい・・・・・・』
「・・・・・・・・」

 イルーナは一つ息を吸って、穏やかな声を発した。

「もう、あなたを一人にはしないわ」

 ローエングラム陣営参謀総長ではなく、この子の教官として、見守ってきた人間としてだ。

「こんな言葉で片が付くかどうかわからない。けれど・・・・・私は今言いたい」

 イルーナは顔を上げた教え子の眼を見て、頭を下げた。

「つらい思いをさせて本当に、ごめんなさい」

* * * * *

 教官が目の前で頭を下げている。
 そのことに気が付いたのは自分が顔を上げてからだった。

『つらい思いをさせて本当にごめんなさい』

 そんな言葉(謝罪)、聞きたくなかった。
 自分(フィオーナ)が知っていたのは、いつも緩急自在な指揮を執り、春の温かさと秋霜烈日さを併せ持ち、自分たちを見守ってきた教官である。その判断は、たとえ自分が疑問を持つことがあろうとも、最終的には正しいとおもっていた。だからこそ自分は折れそうになる心を抑えてここまで戦ってきた。だから――。
 目の前で頭を下げている教官など、認められない。認めたくはない。認めてしまえば、自分の歩んできた道が崩れ去ることとと同じなのだから。

 仮にそうだとしても――。
 気づいていたのならば、手遅れにならないうちに――。

「どうして、私を連れ戻してくれなかったのですか――」

 言わな
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ