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デート・ア・ライブ~Hakenkreuz~
第十八話「一方その頃」
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「なあ、琴里。まだあの子、【SS】は見つかっていないのか?」

ラタトスクが持つ空中艦フラクシナスにて五河士道は司令である琴里に尋ねる。内容は数日前から行方が分かっていない彼女についてだ。とは言っても精霊である彼女の居所など空間震でも発生しない限り補足できていないため琴里がいう内容はある程度予想出来る物だった。

「見つかっていないわ。あれだけの戦闘だもの。どこかで倒れているとでも思ったけどそんな反応はないし一般人に拾われたかASTに既に殺されたか」

尤も、後者はあり得ないでしょうけどね、と琴里は呟く。いくら戦いで負傷し霊力を大きく消耗したとしてもASTから逃げる位の力は残っているだろうと言うのが実際に彼女と戦闘した琴里の感想だった。

あの時、琴里は内からあふれ出る破壊衝動で自我を失っていたとはいえ失う前までの感触やフラクシナスが撮っていた映像からまだ与力を残しているように思えた。その結果が負傷では何とも言えないが。

「それに今回の事ではっきりしたわね」

フラクシナスのメインモニターには前回の対話時の映像と今回の戦闘の映像が流れている。そして基本音量は無かった映像の一部で声がする。

『ふざけるなよ、イエローモンキーィィィィッ!!!!』

『貴様程度(・・)に邪魔をされる訳にはいかない!私の!悲願の為にも!』

「…改めて見ても胸糞悪いわね」

あの時は自我を失い彼女の言葉は耳に入っていなかったがこうして見てみれば琴里は不快の感情を隠しもせずに吐き出す。

「極度の選民思想。それも第二次世界大戦時の骨董品(・・・)ね。今時こんな人種批判をする人なんていないわよ」

琴里の言葉に士道は何も言えない。あの時近くにいた士道が彼女から感じたのは圧倒的な殺意そして自分を見下し蔑む瞳。士道は思う。彼女は確実に自分を見下していた、と。

それでも士道はあの瞳に映る確かな何かを感じた。それは憤怒であり自らをすら焼き尽くさんばかりに、だがそれを表には出さず燃やしていた。

きっとその怒りが彼女の言う悲願と関係があるのだろう。

「そして彼女の悲願だけど…、流石に情報が少ない今では何も分からないわね」

琴里は肩をすくめる。現状漸く彼女の観測データが纏まりつつある段階なのだ。それに加えて彼女との対話などほぼなく代わりに戦闘データばかり集まっていた。今の段階で分かっているのは無名天使(ノーネーム)と言う謎の天使と彼女の戦闘能力のみ。そして極度の選民思想の持ち主であり何かの悲願を成し遂げるために行動している事だけだ。

「…もしかしたら、彼女の目的は復讐、かもしれない」

「何ですって?」

士道は自分は感じ、そのうえで考えた考察を琴里に話す。琴里は頷き「そうかもしれないわね」と同意する。

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