第五章
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「別にな」
「そうしたことはですか」
「当然のことやろ」
「ですがそう言われて思われて」
市長はそのトウジに温厚な声で話していった。
「動かれていることがです」
「聖者の振る舞いか」
「そうです、しかもそのことに驕ったり人を傷付けたりしません」
「そうした性分でもないし」
「そうした方はです」
まさにというのだ。
「聖者です、麒麟はそのお二人が動かれているので」
「かえってかいな」
「出られないのです」
対象が動いているからだというのだ。
「ですからここはあえて」
「探すんやなくてか」
「待たれるべきです」
「そうか、ほなな」
市長に言われてだった、トウジは。
カウサリア自分と同じく聖者と言われた彼女と共にカトマンズでくつろぎながら麒麟を待った。すると五日経ってだった。
街で遊んでいた二人の前に麒麟が出て来た、トウジはその麒麟に尋ねた。
「聖者を探してるんやな」
「はい、お二人がネパールに来られると聞いて」
そのうえでとだ、麒麟はバリトンの声で答えた。
「崑崙から来たのですが」
「あたし等が動き回ってか」
「中々お会い出来ませんでしたが」
それがというのだ。
「この度です」
「あたし達がカトマンズにおる様になってか」
「お会い出来ることが出来ました」
麒麟が自ら出向く形でというのだ。
「無事に」
「それは何よりや、けど崑崙ではな」
「私がいなくなってですね」
「探してるさかい」
「だからですね」
「すぐに崑崙に行くんや」
「ネパールに行くと連絡した筈ですが」
ここで麒麟は困った顔になって述べた。
「連絡がいっていませんでしたか」
「そやからあたし達もあんた探してたんやけど」
「神仙の方にお話しましたが」
「神仙に?」
「東方朔殿に」
「そらあかんわ」
東方朔と聞いてだった、トウジは麒麟にむっとした顔になって返した。
「あの神仙の中ではとびきりの悪戯者や」
「そうだったのですか」
「って知らんかったんかこのこと」
「頓智の効いた方と思っていましたが」
「西王母さんも言うてるわ」
崑崙の主である女神もというのだ。
「悪戯小僧ってな」
「そうした方でしたか」
「今回こうした騒ぎになる様にな」
「私が連絡をお願いしても」
「あえて言わんかったんや」
「そうでしたか」
「あの人らしいわ、全部読んでそれで悪戯をする」
こうなることをわかってというのだ。
「そうした神仙さんや」
「そうした一面もあるとは」
「謎は解けたわ、しかしあたし達が聖者か」
「はい、そのことは事実です」
麒麟はトウジの言葉に確かな声で答えた。
「私が保証します」
「神獣であるあんたが」
「左様です、星の方々はどの方も聖者であられます」
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