純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 27
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。多分、凄く嫌がると思います」
「? アーレストさんが嫌がる? 洗剤を?」
「水に溶かすべきじゃない物が混じってるんですよ、これ」
「溶かすべきじゃない物?」
「少なくとも自然界で自然に交わる要素ではありません。神々の御力が無ければ循環の輪に戻せない組み合わせ……汚染とでも言うのでしょうか? こういう不自然な物の近くに居る時、アーさんの顔色は微妙に悪くなります。私も、できれば使ってる所は見たくないです」
「……そっか。洗剤って、そういう物なのね」
生命の循環を乱す物。精霊達が最も嫌悪する『自然界にとっての毒』。
「ごめんなさい、リースリンデ。嫌な物を見せてしまって」
「聖天女様は知らずに買ってしまったんですから、仕方ないです。使って欲しくはないですが」
「私の目には本当に綺麗に見えたのよ、シャボン玉。でも、リースリンデやアーレストさんには禍々しく見えるかも知れないわね」
お金を出してくれたアーレストさんにも見て欲しかったけど、気分を害すると分かった以上押し付ける訳にはいかない。
かと言って、おばさまのご厚意で買わせてもらった物をやっぱり要らないと返すのも失礼だし、洗剤に関しては説明と注意を十分に伝えた上でロザリア達に任せよう。丸投げするみたいで申し訳無いけど、あの二人ならきっと適切に扱ってくれる筈。
「洗剤はともかく、こっちの丸い石は良いと思いますよ」
「え?」
「すごくすごく懐かしい土の香りがするんです。アリア様が泉で眠りに就かれるよりずーっと前の大地の香り。この石も長い時間眠っていたのね。久しぶりの大気に触れて、嬉しそうに呼吸してる」
「嬉しそう……?」
持っていたペンを専用のペン立てに突き刺してから、ペンダントに連なる石の表面を愛しげに撫でる精霊。
その横顔を見て、ふと気になった。
「人間に研磨されてるけど、それは不自然じゃないの?」
「自然界に在って削れない石などありません。風でも水でも、石同士であっても、丸く削り合う事自体は普通ですよ。削れる速さに違いがあるだけです」
「そう、なの?」
「はい」
奥が深いわ、自然界。許容範囲が全く読めない。
と、礼拝堂のほうからざわめきが聞こえてきた。お説教が終わったようね。
アーレストさんが一旦戻って来る可能性も考えて、ペンダントともう一品はテーブルの上に残し、洗剤だけを私の結界内へ移す。
「失礼します……お帰りなさい、マリアさん」
「あ、お疲れ様です。アーレストさん」
やや間を置いて寝室の扉を開いたアーレストさんが、当然のように挨拶してくれる……のは勿論嬉しいのよ? でもそれより、やっと休みを取る気になってくれたらしいことに安心したわ。
無理しすぎよ、本当にもう!
「良いお土産は見付かりまし
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