純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 27
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も何かに気付いたのか。
わずかにうつむいて眉を顰めた。
って、え?
事情を呑み込めてないのは私だけ?
それは立場上よろしくない。
えーと、えーと……虫除け、孤児院への影響、特定……
……『特定』?
あっ、そうか!
虫達は小さければ小さいほど、神を中心にして広範囲で酔っ払う。
その範囲内では、人間への虫刺され被害が激減する。
裏を返せば、虫除けや虫刺されに関連する薬品の売り上げが突然不自然に激減した地域こそ、神の居場所や通り道を示す目印になりかねないのか!
「……ん? 虫刺されがなくなるって、酔っ払った虫達は餌とかどうす」
「鈍い! だから、まずいんだよ」
神の力に酔った虫達は、神がそこに居る限り、正気には戻れない。
正気に戻らない限り虫達の活動力は低下し、栄養摂取ができなくなる。
虫達に十分な栄養が蓄えられないと、彼らを捕食する生物達にも、必要な栄養が行き渡らなくなり、虫の生態を利用する植物の繁殖にも影響が出て、結果的に自然界の食物連鎖と、人間世界の農畜産業の機能も鈍化していく。
ロザリア様達が一ヶ所に留まり続けると。
周辺地域の生態系が狂いかねないんだ。
「……あのさ。もしかして私、ここに留まってると、相当やばい……?」
「どうお答えしたらよいものか、判断しかねてはいますわ」
「こればっかりはなあ……」
かつて、あらゆる生命を護る為に世界各地を飛び回って力を振るっていたとされる、無翼の女神アリア。
当時は一ヶ所に留まるほうが珍しくて、まさか見えない所でこんなことになっていたとは、気が付かなかったのかも知れない。
ロザリア様の顔、真っ青。
『何を言ってるんだ? 今は結界に入ってるんだから、問題はないだろう。数日間表に出なければ元に戻るぞ』
「酔っ払うまでは半日足らずで、酔いが醒めるまでは数日掛かるのか」
「とんでもない威力ですのね」
「ウソだろ……」
「ロザリア」
大半を封印しててこれなら、封印を解いた瞬間は大惨事じゃないか……
と、よろめくロザリア様を、クロスツェルさんが心配そうに見つめる。
思わぬ展開に暗い雰囲気が漂う中。
小鳥だけが、理解できないと言いたそうにピルル? と鳴いた。
『直接命を奪い取るわけでもあるまいに食物連鎖の鈍化程度で大袈裟だな。そんなに気になるんなら、それこそ泉の水でも持ち歩けば良いじゃないか。あれならレゾネクトの力も隠せるんだし』
すると。
「「「その手があった??」」」
アオイデーさんの提案に。
プリシラ様とお父様とロザリア様の喜ぶ声が重なった。
「いつの間にか長衣の袖に入ってた水入りの球体! 今じゃほぼ空だけど、あれと同じ物を
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