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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 27
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れたと見て。
 プリシラ様が、アオイデーさんに小首を傾げる。

「アオイデー様は女神でいらっしゃるのですよね?」
『そうだ。神代の頃からアリアシエルとアルスエルナ王国を見守ってきた、(自称)守護女神だぞ』

 自称は認めるんだ。

「では、虫に刺された経験はおありですか?」
「『は?』」

 指の上で首(というか体)を縦に振るアオイデーさんに。
 プリシラ様は、思いがけない質問をした。
 土下座の姿勢を崩してなかったお父様も、顔を上げてきょとんと瞬く。

「何故、虫刺され?」
「必要な確認ですわ、ソレスタ神父。顔見知りの貴方方も、どうでした? 女神としてのフィレス様や姿を見せてくださっているアオイデー様と一緒に居る間、虫に刺された時の痛みや、かゆみなど、感じていましたか?」

 真面目な顔を向けられたお父様とフィレスさんは、しばらく考え込み。

「…………いや、まったく」
「私も、気にしてませんでした」

 揃って『否』を返す。

『? 当然じゃないか。神を害する生物など、ゴールデンドラゴンや人間や悪魔や悪魔に属する者達以外には存在しない。その他の生物にとって私達は畏怖の対象であり、一舐めで失神する高濃度の酒だ。特に虫のような小さい生物なんぞ、小さければ小さいほど私達に近付くだけで軽く酔っ払い、直に触れれば泥酔状態、視認できる範囲内で両翼を全開にしてしまえば、一瞬で絶頂後弛緩状態に陥るぞ』
「天然の虫除けかよ??」
『お前もそうだろう、ロザリア。お前が自我を自覚した当初ならともかく、力を意識して使い始めてからは、ほとんど気にならなかった筈だ』
「マジか。そんなん、考えた記憶も無いけど」
「そういえば……東区の教会で共同生活を始めて以降、虫除けの薬はあまり使用していませんでしたね。私も特に気にしていなかったのですが、あれは半覚醒状態のロザリアが教会に居たから。その後も気にならなかったのは、私とべゼドラがアリアの力に護られていたから。ですか」
「…………まずいな」
「え?」

 クロスツェルさんの一言で、立ち上がったお父様の顔色が通常に戻った。

 ……違う。いつもより緊張してる?

「やはり、そうでしたのね」
「まさか孤児院にも影響が出ていたのか?」
「ええ。これは推測ですが、おそらく私が到着した時点では既に。今現在は誰も気付いていませんが、長く続くのであれば時間の問題でしょう」
「たった半日かそこらで、しかも翼は封印済みなのに王都の外れまでとか。規模がデカすぎる。その分、特定は難しくなるが……」
「難しいだけで、不可能ではありません」
「人外ならではってヤツか。盲点だったな」

 神妙な面持ちで頷き合う、プリシラ様とお父様。
 クロスツェルさんとロザリア様、フィレスさん
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