純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 27
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さくな話し方……商売人としての自負が窺えるわ。一人目の相談相手としては頼りになりそう。
「いいえ、王都です。中央教会の近くに住んでいます」
「王都!? それはまた随分遠くから来たんだね。道中大変だったろう? 北方領は急勾配な山道も多いから」
「ええ……でも、雪に触った経験があまり無いので、とても新鮮です」
ごめんなさい、おばさま。王都からの行き来は一瞬なので、大変と感じた事は一度もありません。
でも、雪に触る機会があんまり無かったのは本当よ。アルフリード達と旅をしていた頃も、雪国には時々立ち寄るくらいで、慣れ親しむ程の余裕は無かったから。
「楽しめてるんなら良かったよ。雪と遊べるのは子供の特権。今の内に思う存分堪能してお行き」
「ありがとうございます」
「で? 土産を渡したい友達ってのは、女の子? それとも男の子?」
「え、と」
どう説明するべきかしら? 見た目は十代でも実年齢は不明な女性と、二十代後半の男性です、なんて正直に答えたら不審がられるわよね。
かと言って、年齢を曖昧に伝えると私の外見に合わせた子供向けのお土産が出てきちゃいそうだし……。
「女の子と男の子の両方……なんですけど、私よりちょっと年上なんです。玩具で遊ぶのは卒業したくらいの」
「王都に住む、十歳くらいの女の子と男の子?」
「もう少し上ですね」
「へぇ、王都では年齢差も関係無く友達になれるのかい? 羨ましい限りだねぇ。此処らでは同年代の子供同士が集まりやすいから、手伝いや勉強なんかもサボりがちでさ。悪戯ばっかりするもんで、皆手を焼いてるんだよ」
「は、はぁ……そうなんですね……」
う、羨ましい? 同年代の子供同士が集まると手伝いや勉強をしなくなる? どうして?
よく分からないけど下手な事を言って怪しまれても困るし、とりあえず笑って誤魔化しておこう。
「玩具で遊ばなくなった子供向けの土産、か。なら、この辺りはどうだい?」
そう言っておばさまが手に取って差し出してくれた民芸品は、少し短めのペンダント。石で出来た小さな球体を隙間無くびっしり紐に通して、真ん中には雪の結晶を模った青白い飾りを吊るしてる。
「この玉って、表面がツルツルだから質感が違って見えますけど、この街の各所に使われている石と同じ物ですよね?」
「よく気付いたね。その通りだよ。ほら、直に触ってごらん」
直に……って……。
「売り物なのに、素手で触ったりして大丈夫なんですか?」
「売り主が良いって言ってんだから、大丈夫に決まってるだろ」
「では、失礼します」
ペンダントは持ってもらったまま急いで手袋を脱ぎ、おばさまの手に手を重ねる形で石を撫でてみる。
「…………温かい?」
通常の石なら外気温に添った温度にな
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