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ある晴れた日に
666部分:炎は燃えてその十

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炎は燃えてその十

「これはな」
「御前の曲かよ」
「そうだったのかよ」
「こいつの為に作った」
 そうしたと。皆に述べるのだった。
「あえてな」
「おいおい、これで何曲目だよ」
 野本はその言葉を聞いて少し笑って述べた。
「竹林の為に作った曲はよ」
「こいつの為なら何曲でも作る」
「何曲でもかよ」
「そうだ、作る」
 そうするというのである。
「こいつが元に戻るんだったらな」
「そうか」
「そうだ、この曲もそのうちの一つだ」
「いいな」
 聴いていてこの言葉を出した野本だった。
「この曲もな」
「いいか」
「ああ、かなりいい」
 それを言うのだった。
「気に入ったぜ」
「そうか。それならこいつも」
「気に入ると思うぜ」
「そうよね、はじまりだけれどいい曲だし」
「確かに」
 皆も言う。それは実に落ち着いていて清らかな曲だった。そしてその曲を聴いていた春華がふと気付いた様に言ってきたのだった。
「なあ、この曲ってな」
「何だ?」
「あれじゃね?」
 こう前置きしての言葉だった。
「何とかいうクラシックの曲を元にしてねえか?」
「そこから考えたというのか」
「うちどっかで聴いたことあるんだよ」
 言いながら自分の記憶を辿る春華だった。
「何とかっていうな」
「何とかでわかるかよ」
「無茶言う奴だな」
 野茂と佐々がその彼女に突っ込みを入れた。
「それだけでわかったら凄いぜ、おい」
「全くだ」
「ええと、オペラだったな」
 春華の記憶がここで動いた。
「そうだ、姉貴が聴いてた曲だったんだ」
「何てオペラだ?それで」
「モーツァルトかよ」
 今度彼女に問うたのは坂上と坪本だった。
「誰の作曲なんだよ、それで」
「色々いるだろ、クラシックの作曲家でも」
「マス何とかいったな」
 春華の記憶がまた動いた。
「確かな」
「マスカーニ?」
 ここで言ったのは千佳だった。
「それって」
「ああ、そうだよ」
 春華はここまではいぶかしむ顔になった。だが今の彼女の言葉で一気に晴れた顔になった。
「そうそう、それそれ」
「マスカーニっていったら」
 ここからは千佳が言うのだった。自分を指差して納得した顔になっている春華にかわって。
「あれかしら。カヴァレリア=ルスティカーナ」
 このタイトルを話に出すのだった。
「一番有名なのは間奏曲よね」
「いい曲だ」
 正道も言ってきた。
「あの曲はな」
「じゃあやっぱり参考にしたの」
「そうだ」
 こう千佳に応えたのだった。

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