16 紫陽花の咲く場所
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新幹線の車窓を見て女は列車の早さに驚いていた。
「凄い速いわね」
「ああ、静岡は一時間程で着くよ」
「ま、楽しみね。そのシズオカって所をターゲットにした理由は何なの?」
「それはここには富士山というこの国で最も高い山がある。その山は神聖な存在とされているんだ。そこから周囲の人間に力を与えているらしくてな」
「その人間を静粛させたら次はどうするの?」
「次にその山の神を降伏させ、我々に協力させる。その為にここにいる博識な少年をこちらの物にして最良の意見を考えて貰うのさ」
「へえ、良く考えたわね」
かよ子達は巨大化した羽根に乗って飛行し、紫陽花が咲く場所を探していた。
「紫陽花、どこかな?」
「う〜ん・・・。あ、あったよ!」
とし子が発見した。
「え?よし、降りるよ」
かよ子は羽根を降下させた。羽根はかよ子が頭の中で思うように動いたり止まったりするので難なく使いこなせた。皆はサファイアやアメジストのように美しい青や紫の紫陽花に見入った。
「うわあ、きれいだあ・・・。おねえちゃん、ありがとう」
小春は兄のクラスメイトに礼をした。
「うん、そうだ、小春ちゃん、またこの紫陽花見たくなったらいつでも連れてってあげるよ」
「ほんと?」
「本当だよ」
かよ子は約束した。
「うん!」
「それじゃ、帰ろうか」
かよ子はまず長山の家へと向かい、長山と小春を降ろした。
「まるちゃん、たまちゃん、とし子ちゃんも家まで送ってあげるよ」
「おお〜、ありがとう、かよちゃん」
「あ、でもランドセルが・・・」
たまえの一言でかよ子はランドセルの事を思い出した。
「あ、いけない!忘れるとこだったよ!」
「かよちゃんのおっちょこちょい、相変わらずだね」
とし子も苦笑した。かよ子は恥ずかしくなり、赤面した。ランドセルを取り、かよ子はまる子、たまえ、そしてとし子をそれぞれの家へと送ってから帰宅した。かよ子はある事を閃いた。
(そうだ、杉山君にもあの紫陽花、見せてあげたいな・・・)
長山はかよ子達が帰った後、かよ子の不思議な羽根について顧みていた。
(そういえば山田のあの羽根、空を飛べたな・・・)
長山はかよ子の羽根が以前の地震のようで地震でない現象や、日本各地で何者かによる異常な襲撃との関連性があるのではないかと感じた。さらに彼女は学校を襲った二人組と戦闘をしていた事がある。その時もあの二人組もかよ子も現実的とは思えない戦いをしていた。この世の「日常」は今失われつつあるのか・・・。長山はそう推理していた。
(もしそうならどうすればいいんだろう・・・?)
そんな時、小春が声を掛けてきた。
「お兄ちゃん」
「どうしたんだい?」
「こはる、また、あのあじさいみたい・・・」
「ああ、そうだね。今度は元
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