第五章
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「しっかりとな」
「船長になって」
「そうしてな」
「船のこと、海のことに」
「会社のこともな」
これもというのだ。
「学ぶ為に」
「船長になれと言った」
「そうなんだな、よくわかったよ」
「そうですね、ですが」
それでもとだ、ここでウスマンは船長にこうも言った。
「一つ大事なことがあります」
「帰りか」
「帰って全ての事務手続きを終えるまでが航海です」
「船長の仕事か」
「はい、ですから」
「帰りも気を抜かずに」
「行きましょう」
こう言ってだった、ウスマンは船長の背中を言葉で押した。そうしてだった。
帰りの航海ではウスマンの予想通り嵐になった、だがウスマンはこの時船長に対して冷静な声で話した。
「落ち着いていけばです」
「いいか」
「はい、この船は大きいですし鉄製でして」
そうした船でというのだ。
「ディーゼルですし」
「燃料もな」
「自力で前にも進めますし」
「安定感もあるか」
「ですから」
それでというのだ。
「このままです」
「前に進めるか」
「はい、このまま」
まさにというのだ。
「ですから」
「このままか」
「先に進みましょう」
「そういえば船の中のものも」
「全て整頓して動きそうなものは全部縛っていますね」
「全部な」
「そうしていますから」
「嵐の中でもか」
「船の中が荒れることもありません」
嵐の中で船の中のものが激しく動き回り船員を傷付けたり船の内部にダメージを与えることもないというのだ。
「ですから」
「それでか」
「安心してです」
「このまま行けばいいか」
「そうです」
こう言ってだ、そのうえでだ。
ウスマンは嵐の中船長に船を進ませた、そうして。
モンスターが出て来ても戦った、そのうえで先に進むと遂にだった。港に着き。
全ての手続きを終えて仕事は終わった、だがその後で。
船長に連絡がきた、それで彼はウスマンにすぐに話した。
「親父の病気が治ったらしい」
「そうですか」
ウスマンは契約はまだ続いているので敬語で応えた。
「それは何よりですね」
「無事な、それで体調が戻るらしいからな」
「だからですね」
「船長の仕事の後で」
「学校に行く」
「高校、そして大学にな」
そこにというのだ。
「行くことになりそうだよ」
「じゃあそこで」
「経営のことも学んで」
「そうしてやがては」
「会社を継ぐよ」
「頑張って下さい」
ウスマンは船長に笑顔でエールを送った、そうしてだった。
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