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ある晴れた日に
663部分:炎は燃えてその七

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炎は燃えてその七

「本当に」
「そうして少しずつ元に戻っていって」
「皆と一緒に学校に来られる日も」
「きっと来るわね」
「そうですね。最初は」
 ここで少しだけ暗い顔になる田淵先生だった。そうして言うのであった。
「駄目かもって思いました」
「私もそれはね」
「そうだったんですか」
「あの状況だったから」
 はじめて見た病院での未晴を思い出していた。それは確かにそう思わざるを得ないものだった。そこまで酷い姿だったからである。
「それはとてもね」
「そうですよね。あの有様だと」
「本当に駄目って思ったわ」
 まさにそうだったというのである。
「けれど。それが」
「腕が動いて」
「あの子達が頑張っているからよね」
「ええ、特に」
 田淵先生はここで彼の名前を出したのだった。
「音橋君が」
「やっぱり彼の存在が大きいわね」
「はい」
 その言葉に頷くのだった。
「本当に」
「あの子も最初はかなり悩んだけれどね」
「そうですね。私達もでしたけれど」
「それでもね」
 江夏先生は言う。
「あの娘の為にあそこまでしてくれて」
「毎日夜遅くまでいて」
「それであの娘をあそこまでしたのよ」
「皆と一緒に」
「私ね」
 江夏先生はここで話を少し変えてきた。
「最初このクラスを受け持った時はね」
「いいクラスって仰いましたね」
「やりやすいって意味だったのよ」
 そういう意味での言葉だったというのである。
「それはね」
「そうだったんですか」
「そうだったのよ。けれど今はね」
「違うんですね」
「多分貴女と同じね」
 田淵先生に顔を向けてそのうえでの言葉だった。
「思ってることは」
「素晴らしいクラス」
「ええ、そうよ」
 それだというのである。
「今はそう思ってるわ」
「じゃあやっぱり私と同じですね」
 田淵先生もここで微笑んで言った。
「そう思ってるのなら」
「そうよね。本当に一緒よね」
「はい」
「いいクラスよ」
 江夏先生はまた言った。
「本当にね」
「そうですね。私あの子達と会えてよかったです」
「私もよ」
「素晴らしいものを見せてもらっています」
 また言うのであった。
「竹林さんは。痛ましいですけれど」
「それはね。けれどあの娘に対して」
「そうですね。それで」
「皆頑張るのよね」
「そうなりますね」
「結果としてだけれど」 
 そうだというのであった。

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