661部分:炎は燃えてその五
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炎は燃えてその五
「今度は腕が動いた」
「腕がって。本当かよ」
「それ、嘘じゃないわよね」
「本当に動いたのかよ」
「一瞬だが動いた」
それは確かだというのである。
「今度は腕がだ」
「確実に元に戻ってきてるのね」
「そうよね」
咲と静華が香を見合わせて言い合う。
「今度は腕が動いたって」
「顔だけじゃなくて」
「この調子でいけばいいのは間違いないわね」
凛もその声をうわずらせていた。それは自然とそうなってしまっていた。彼女もその話を聞いて気持ちが昂ぶっているのである。
それでだ。彼女はまた言った。
「じゃあ今日も」
「そうよね、今日も行けば」
「今度は足が動くかもな」
奈々瀬と春華がここで言った。二人も声がうわずっている。
「そうして少しずつ動いていって」
「元に戻るんだな」
「楽しみができたわね」
明日夢もその顔を綻ばせていた。
「未晴がどんどん元に戻っていってるからね」
「そうそう、そうよね」
凛がここでその明日夢を両手で強く抱き締めた。そうしてニコニコとして言うのだった。
「もうすぐよ。また六人で楽しく遊べるのよ」
「六人なのに何で私を抱き締めるわけ?」
言いながらも明日夢も彼女に応えている。お互いに抱き合っている。そのうえで話をするのだった。この二人の仲は相変わらずである。
「それは」
「まあ何となく」
抱き締めながら応える凛だった。
「駄目かしら」
「別にいいけれど」
明日夢も抱き返しているからそれは変わらなかった。
「それはね」
「少年も一緒に遊べるわよ」
こうして話を本題に進める凛だった。
「また皆でね」
「そうよね。皆でね」
「私あれなのよ」
今度は告白の時間だった。
「未晴大好きなのよ」
「それはよくわかるわ」
「咲も奈々瀬も春華も静華も好きよ」
このつながりは絶対だった。しかも今ではそれだけではなかったのだ。
「それと同じ位。今じゃね」
「今じゃ?」
「少年も大好きだから」
「そうなの。それは私もよ」
明日夢もにこりと笑って凛に返す。
「恵美や茜と同じ位凛が好きだからね」
「何か仲良くなったわよね」
「本当にね」
二人の絆も深いものになっていた。それもかなりであった。
そしてそれは彼女達だけでなかった。他の皆もであった。
「何か俺達ってな」
「だよな。一学期がはじまった頃と比べるとな」
「相当仲良くなったよな」
「本当にな」
野茂と坂上、それに坪本と佐々がそれぞれ言い合う。
「最初は喧嘩でもなるんじゃないかって思ってたぜ」
「この連中とは絶対に無理だって思ってたよ」
「俺もだよ」
「実は俺もな」
しかし今は。全く違っていたのだった。
そしてそれを今確かめ合って
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