第五十三話 おさづけの理その二十九
[8]前話 [2]次話
「寂しかった時はそれからもあったけれど」
「何かと大変で」
「団体生活だからね」
文字通りのです、何か昔は自衛隊より厳しかったと聞いています。私達の時はそれ程ではなかったですけれど。
「やっぱりね」
「大変なこともあって」
「苦労もしたわ、けれどあと少しでね」
「卒業してですね」
「寮も出るわ」
卒寮です。
「あっという間だったわ、特に三年生の時はね」
「今はですか」
「何かね」
阿波野君を見て思いました。
「阿波野君のせい?」
「僕のですか」
「阿波野君と会ったらね」
三年生になってまさにすぐでした。
「もうそこからね」
「時間が経つのが以前よりも速くなったんですか」
「そんな気がするわ」
妙にです。
「どうにもね」
「充実してると時間の流れが早いっていいますね」
こう私に言ってきた阿波野君でした。
「つまり僕と会ってからですよ」
「余計に充実する様になってなの」
「時間が経つのが速くなったんですよ」
「何で阿波野君に会ってなのよ、まあとにかくね」
寮の前に来ました、それならでした。
「ここまで一緒に来てくれて有り難うね」
「いえいえ、治良さんや言われてですから」
ここでは謙虚な阿波野君でした。
「お礼には及びませんよ」
「そうなの」
「これ位何時でもですから」
「何時でもは悪いから」
そこまでしてもらうなんてとてもです。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ