第百三話 大国の狙いその八
[8]前話 [2]次話
「そして作家になりました」
「そうなんですか」
「ですからその文章もです」
「尾崎紅葉の影響ありますか」
「そうかも知れないですね」
「そうなんですか」
「はい、それで尾崎紅葉の文章は」
それの話もだ、ボームは話した。
「明治のものであり」
「明治に今の日本の文章が出来たんですね」
「口語になりました」
それまでは文語であったのだ、古典の文章と言っていいだろうか。
「その過程の文章で」
「尾崎紅葉は、ですか」
「はい、口語というよりかは」
「文語ですか」
「そう言ってよかったかと」
「そうですか」
「あの金色夜叉にしても」
「金色夜叉って未完やろ」
オコナーは金色夜叉について述べた。
「そういえば」
「あっ、他の作家の人がです」
「終わらせてるんかいな」
「はい、実は」
「そうやったんか」
「尾崎紅葉自身は完結させられませんでしたが」
それでもというのだ。
「実は完結しています」
「そうだったんですか」
「それは初耳ですね」
ヘミングウェーもボームの金色夜叉が完結しているという話に顔を向けてそのうえで目を光らせて言った。
「では読んでもですね」
「はい、最後はどうなったかとです」
「思うこともですね」
「ないです」
関西弁のニュアンスでだ、ボームはヘミングウェーにも話した。
「金色夜叉は」
「そうですか、では」
「読まれますか」
「前向きに検討します」
ヘミングウェーは楽し気に笑ってボームに答えた。
「そうさせてもらいます」
「そうですか」
「はい、ただ英語で読む方が」
「読みやすいですね」
「私にとっては」
「それは英語に慣れていることもありますが」
それ以上にとだ、ボームは話した。
「やはりです」
「尾崎紅葉の文章ですね」
「それは難しいので」
だからだというのだ。
「今の日本の方々もです」
「尾崎紅葉の文章は難しいですか」
「古典に近いので」
まさにそのせいでというのだ。
「難しいです」
「そうですか」
「というか日本語の難しさは」
セリューもどうかという顔だった。
「極め付きっすね」
「あれっ、あんた昔日本にいたやろ」
今だけでなくとだ、ミッチェルはセリューに突っこみを入れた。
「確かそやろ」
「お父さんが沖縄にいた時にっす」
「あっちにおったやろ」
「そうでしたっす」
「そこで日本語に馴染んで」
幼い頃にというのだ。
「あたくし達の間で一番上手やん」
「それでもっすよ」
「日本語難しいんやな」
「ほんまに」
こうミッチェルに素直な口調で話した。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ